時事新報社説問題の最終的解決――『福沢諭吉全集』改訂の試み

2016-11-13

このテキストについて

平山氏からの依頼により、2016年10月30日に大阪府吹田市関西大学で開催 された日本思想史学会での発表「時事新報社説問題の最終的解決-『福沢諭吉全 集』改訂の試み」の発表要旨と資料及び音声を、平山氏の了解のうえアップロー ドします。

発表要旨

時事新報社説問題の最終的解決-『福沢諭吉全集』改訂の試み

 現行版『福沢諭吉全集』の「時事新報論集」の社説選択に関する疑義についての最初の発表は、日本思想史学会二〇〇一年度大会(関西大学)においてであった。福沢全集に収録されている社説の多くが編纂者石河幹明の手になるものであることを明かしたその発表は反響を呼び、三年後に刊行された『福沢諭吉の真実』によって一般に知られることになった。 

 石河が時事新報の主筆となったのは福沢が脳卒中の発作に倒れた明治三一年(一八九八)一〇月以降のことである。明治一八年四月の石河入社までの分については、二〇一三年度の本学会大会で発表した。時事新報が創刊された明治一五年三月から明治一八年三月までの該期間分三三八編について福沢と推定できる全集未収録社説は四二編あった。二〇一四年度はそれに引き続く明治一八年四月から明治二四年九月までの社説一〇八六編の起草者推定を行った。該期間の推定福沢直筆社説は一七三編であった。さらに二〇一五年度は続く明治二四年一〇月から福沢が脳卒中の発作に倒れる明治三一年九月までを扱った。研究費の都合により網羅的なテキスト化はできなかったが、六七二編中六八編が福沢と判定された。

 二〇一五年度の発表以後新たに三五三編がテキスト化され、福沢健全期の社説二四四九編を網羅的に扱うことが可能となった。福沢語彙に再検討を加えて、新基準で判定し直したところ、抽出されたのは二七八編であった。これらの全集への増補により社説問題は最終的に解決するはずである。

資料

音声