「左の一編は上海クーリア新聞に登録する所にして」
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本文
左の一編は上海クーリア新聞に登録する所にして
日耳曼は武威の焔々に加るに通商の利益を以てせんことを企圖せり葢日耳曼が殖民の政策を執りたるは實に近年の事にして英佛等の諸國に後るゝこと已に遠しと雖とも世界の廣漠たる殖民すべきの土地未た寡しとなす可からす乃ち和蘭の殖民地の如きは華美豊饒なる夥多の嶋嶼を包含し詩人の所謂赤道に環ふたる眞珠の如きものなれともポリネシヤ及ひミクロネシャの島嶼中には獨立の殖民地となすべきものなきに非るなり日耳曼人は既に之に注目し就中シヤモツに意を用て之に殖民をなせしと雖とも素より斯の如き平易なる殖民の企圖を以て滿足す可きに非れば英露佛の諸國の如く亞細亞大洲中に於て其領地を占有せんことを欲望せり而して朝鮮は則ち此欲望を滿足せしむ可きものならん蓋朝鮮の國たる露清日の互に疾視して之を爭ふものなれは將來此國の開國及ひ其歸着すべき版圖に就ては必す三國の間に姦計術策の百出するに至るべし今日耳曼は此三國に次て斯の如く互に疾視して之を爭ふの戰地に闖入せんとなせり或る日耳曼人の説に據れば日耳曼をして通商國たらしむるには亞細亞の東北方に於て開港塲又は倉庫地を有せざる可らず而して朝鮮は則ち之に適切する者なり且日耳曼の通商は亞細亞の東北方に於て最も利便多くして此諸港の通商は既に大に其有に歸したるは事實に由を知る可きなりと又日耳曼新聞の著す所に據れば東洋に於ては日耳曼の通商漸次に其北方に於て旺盛を致せり故に日耳曼をして英國の如く通商の城堡となすべき殖民地を有せしめなば黄海及ひ日本海に於て異常の巨利を得可きは明なり而して朝鮮は最も能く之に適切するものなりと又説をなすものあり云く若し日耳曼人をして此半嶋に居住せしむるときは北方通商の過半は其有に歸し未發の地力を〓〓して巨大の利益を得べきなり又其利益する所は啻に斯の如き通商上のものに止らずして尚之より大なる國益なるものあり何となれば若し日耳曼の朝鮮を占有するに〓るときは〓ち露國か亞細亞の東方を〓食して其〓餐を擅にするを抑制し得可きを以てなりと〓日耳曼政府は自今〓〓〓〓〓露國〓〓〓〓〓するの〓〓〓〓すると云ふ説あり又日耳曼人や余輩の〓〓〓〓〓如く所謂太平洋交戰即ち智力を以て腕力を制し以て歐洲に於て露國の勢力を減削せんと熱心苦慮せしなり而して事若し危急の塲合に至れは亦必ず精鋭無比の兵力に依頼すべきは明なり亞細亞に於ても亦尚斯の如き術策を施行せんとするものゝ如し乃ち日耳曼は若し露國の朝鮮を攻取せんとするを視るときは必ずや憤然起て之を抑制し以て之を我有に歸せしめんとするに至るべし果して斯の如くなるときは露國が今日まて歐洲諸大國の妨碍抑制するものなきにより亞細亞を蠶食して其贅餐を擅にせしを抑制し得可きが故日耳曼人のこゝに來住するは即ち露國贅晩餐の企圖を破壊し清國をして露國を恐怖するの心を一掃するものと謂う可きなり余輩は日耳曼か朝鮮に就き各國疾視相爭ふの戰地に闖入するは日耳曼に取て果して利なる歟否又朝鮮か日耳曼の版圖に歸するは朝鮮に取て果して益なる歟否は之を確論するを得すと雖も兎に角に此戰地に日耳曼の闖入するは大に東北亞細亞の形勢を變更し露國贅餐の企圖に大なる影響を及ほす可きは信して疑はさるなり蓋朝鮮の現状に就て將來に煥發すべき形勢を豫言するは固より粗暴の譏りを免れずと雖も日耳曼をして其企圖の如く既に朝鮮に關係するものと看做すときは若し此半嶋に就き紛紜の起るあつて兵力に依頼するに至れは日耳曼は必す勝利を得るに至る可きは信憑して豫言すべきものなり