「花房公使入京の電報」

last updated: 2019-09-08

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時事新報に掲載された「花房公使入京の電報」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

花房公使入京の電報

昨日其筋へ達したる電話に〓れば十六日の夜花房公使は京城に着せり朝鮮政府は城内に〓館を設けて丁寧に待遇せり場内の人心も極めて平穏なりとあり此報道にては〓〓の模様は固より〓〓知る可からずと雖も兎に角に彼の方より丁寧に待遇して人心平穏なりとあれば其論ち憶測するも今回の事變に付大院君の政府は我れに對して罪を謝し只〓平和の主義に出るや疑て容る可からざるものゝ如し且又支那の政府よりも既に軍艦を以て官吏を派出したりとのことなれば此史人が京城に至り仮令ひ公然たる資格を以て事を取扱はざるも〓に韓廷の顧問たり又教導者たる可きは必然の形勢にして是亦一題は謝罪の事を説論して韓廷も又必ず是に從うことならん扨この上にて談判の結局平和に〓すると否とは我政府より彼れに向て要求する所の箇條如何に在を存するものと知る可し

人を殺す者は死刑に處す可し衆人の〓〓にて殺したるものは其の〓魁を死に處し連類の者は罪に從て罰す可し世界普通の刑法なり故に我政府は今回の殺害に付き其〓魁及び連類の處刑を求めることならん

又我被害者の遺族には相賞の扶助なかる可からず是亦我政府より求めることならん

又今回の事變の爲に我政府は止むを得ざるの場合よりして要用なりと認むる丈けの軍艦兵士を用意して陸海軍其他に臨時の資材を費したり此臨時の費用は朝鮮の事變の爲にしたるものにして朝鮮國の政府より支〓するは固より當然のことなれば我政府は至當の金〓を算して之を求めることならん

又右の要求に處したる上尚今後の親睦の交際を固くする爲には彼れより明白に其實を表して我れに〓足を興ること緊要なり其一を擧げんに先ず双方の人民相互に其情威を害す可き事物は之を除かざる可からず例えば前年大院君が國中の各處に建たる洋夷侵犯の石碑を取〓うが如き是なり我國にても外國と條約を結びたる〓に宗〓は両國人民の勝手次第なれども双方苦々しき情を惹起するが如きことなかる可しとて長﨑其他九州地方にて踏繪の慣行を〓したることあり物は異なれども事の趣意は同様なるものと云う可し

以上の要求は誠に通常至極の事にして固より世界中の是視して許す可き〓なれば我政府に於て毫も愧じるものはきのみならず我内國の人民も之を喜び諸外國の人も之を賛成することならん

今一歩を〓めて其要求の軽重如何に至り我政府は今回の事變を奇貨として多を求める者に非ざれども此類の要求は物品賣買の償とは少しく趣を異にして其軽重大小は殆ど各人の意見に從て許を下す可き〓のものなれば朝鮮の政府にて我要求を許して如何の威を爲す可きか之を知る可からずと雖も唯我輩のる所を云えば

我日本政府の要求は我方に於て十分に軽しと認め又事實に軽きものなる可ければ〓しの〓〓する〓にて〓〓〓〓