「日本帝國の京城を改造するの决心あるか」

last updated: 2019-09-08

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時事新報に掲載された「日本帝國の京城を改造するの决心あるか」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

日本帝國の京城を改造するの决心あるか

我輩は昨日の紙上に於て東京の中央市區を定むるのことの必要なるを論し之を爲すの法は唯府内を實測し精密完全なる新東京圖を製して管民に告示し自今家屋を建て土木の工を起す者は総て此新圖式の指定する所に由ることとなし數年或は數十年を出てすして東京全市の面目を一變するに在りと云へり

今此新圖を製すと云ふを聞き卒然に考ふれは容易の事の樣なれとも其實際は决して然らざるべし先づ現在未來府内各商業上の便利を察し現在の諸官廳未來の國會院設置の地位を考へ市區外負郭の市村と徃來の道筋を考へ堀割川の要否〓都合を考へ銕道の通過すべき所、船舶の繁泊すべき所、公園の在るべき所、危險工塲の集まるべき所等諸般の關係を審かにするの後現在の結搆を利用して後來改良の工夫を加へ精密の測量を爲して始めて一面の新圖を得べきものなるが故に市區改定委員を集へ專門の技術家を傭ひ幾多の日月を經て落成する其新圖は十万圓に近き金ならては買ひ得ざるものなるべし新圖既に調製の上は舊來の東京地圖と比較對照して新舊の異同を示し住民をして舊を改めて新に從ふの道を知らしめざるべからず而して又住民に令して自今新たに家屋倉庫を建築する者は舊線を避けて新線に就くべしと云ひ住民も亦謹て其令を守り舊線を去て新線に由りたりとせんも其新築の建物にして〓然舊法に從て之を經〓し屋上制限法に依り屋根のみを瓦にて葺くも其全体は木竹〓の〓〓物なら〓〓は〓〓に〓回一〓數千万〓を焦土に變じ假屋の故〓に假〓を建築し堂々たる大日本帝國の京城をして〓〓植民村落たるの〓を〓し得ざらしむへし故に市區改定の告示と共に家屋建築規制を設け市區内の家屋倉庫は必ず石〓煉瓦造土藏造等を限りて脆弱の建築を許さす現今の如く窮■(くさかんむり+「大」+「犯」の右側)の細戸一たび火を失して災全都に及ふの憂を避けざるべからず又惡水〓通の仕組等に關する規制を設け人口稠密と〓行するの慣習ある市内の不潔を除去し衛生上の手當て充分ならしめざるべからす盖し造家法改良惡水流〓等の如きは市區改定と相伴ひて離るべからさる重要事なりと知るべし

以上の市區改定法に從ひ區内の新圖を製し諸般の規制を定めたる上は東京市區改定掛の一局を設け土木造家等の專門技術家をして其實行を監督せしめ他に別段の費用を要せすして漸次此重要事業を成すことを得べし事業成るの日は果して何年の後に在るべきや固より預言すべからずと雖とも東京は例の火災流行のため家屋の新陳交代案外に迅く多年ならずして市區改定の功を奏し忽然全市の面目を改むることあるやも測るべからざるなり

然れとも我輩は必ずしも人の不幸を祈り火災風烈其雨のため東京二十万戸の破滅を待ちて後に始めて市區改定の〓擧を成すを望む者にあらず若し東京住民をして官民上下を論せず幾分の金額を費して大日本帝國の京城を改造するの意あらしめんには我輩は之を實行するの方策に〓まざるべし例へば市區の課税と國〓の補助金とを以て〓〓出金の方法を確然たらしめたる後數百万圓の府債を起し其金力の及ぶ限り市内必要の改良に從事するの工夫あるべし或は新路に當る所の家屋を買入して之を〓さ或は永久の大路と定まりたる道〓に石を甃む等一且改良に着手の上の事の多くして金の少なきを憂る〓憂なしと雖とも事の冝を計りて之を處せんには其〓〓映して〓〓ならざるべし若し東京住民をして火災風烈等人間の不幸に乗して市内改良の利を得んとするが如き卑怯の心〓〓〓内〓蓋し〓自然を凌駕せんとの〓氣〓しめんには我輩は〓〓を募集して此大工事を〓さし〓〓〓の者なり〓來〓國其例一乏しからず例へば英〓倫敦の如き〓入石五十〓〓以來京城工部局なるものを設置し街路を改良し家屋の建築を監し市内の堤防を〓め〓〓を〓設〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓瓦斯の引用〓■(てへん+「檢」の右側)査し〓〓〓本〓〓〓〓人の〓〓五百名〓〓管轄する等の事〓〓り其本〓〓〓繁〓なり市内各區より〓〓したる工部委員の〓〓十〓〓〓〓〓〓〓は一千八百八十一年中に二千〓九十〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓は大千七百十五万〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓東京市内の〓〓〓改良〓〓〓〓〓〓〓〓〓塲合〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓とも土〓の〓〓〓〓の〓人すら〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓火其〓の及ぶ所は一緖の〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓屋を葺くに瓦石金屬を以てせんには大に火を防ぐに足るべしと云ふ者あれとも火も亦雨〓と一般必ずしも天より直下するものと限るべからず雨〓果して〓〓下する〓約束あらんには一臺の編笠渾身を蔽ふて餘〓〓べきに〓〓の火に於て其然るを見ざるは何ぞや〓〓〓を吹く〓〓〓〓〓〓車銕道の布設〓業其筋〓當る〓〓〓破損〓〓の甚しきを見て彼の〓〓の法律〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓は勿論線外左右十五寸の地は悉く甃石する〓〓〓を設くべしと云ふ者あり思ふに〓甃石〓〓〓〓分〓街路改良の實を見るならんと雖とも是亦一時の姑息〓〓を免れざれば寧ろ今一歩奮套して全路を甃石するの優れるに如かざるべし盖し目睫寸前の彌縫策は到底此大日本京城を改良するに適當せざるを以て我輩は斷然意を决して大に其本を〓〓るの方〓に〓〓〓〓を希望するなり