『帝国憲法論』 その11

last updated: 2013-01-23

第二編 各論

第九章 会計

憲法第六章は会計と題し、租税、国債、予算、財政上の非常処分、決算の事に関して規定せり。 以下順を逐うて之を論述すべし。

第一節 租税

租税の性質、并に日本臣民は納税の義務あることは、第四章第三節に論述せる所の如し。 現今我国に於る租税は、地租、所得税、酒造税、醔麹営業税、醤油税、煙草税、菓子税、売薬税、証券印税、船税、車税、登録税等を云う。 憲法第六十二条第一項には「新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ」と規定せり。 故に新に租税を課し及税率を変更するは議会の協賛を必要とし、政府の専断にて決すべからず。 是れ実に立憲制の一大美果(注1)にして、英国の憲法史を繙く者は、同国の議会が此租税許諾権を得るが為めに王室と幾度か軋轢を生じ、幾多の困難を経たるかを知るを得べし。

手数料及び収納金は、其性質全く租税と異なり、租税は国家全体の事業に対する経費に充てんが為めに課するものにして、一個人が之を納むる義務あるは、其国家の団体に属するが為めなれども、手数料及収納金は、時に之を納むる所の一個人又は一会社に対して、政府が或る事を為すに対する報酬の性質に出づるものなり。 而して此等は、其手数の多少又は事業に用いたる資本の額に応じて定むるを正当とするものにして、手数の多少又は資本の額は、実際の局に当れる者にあらざれば、之を詳にするを得ざるが故に、之を法律として議会の協賛を経るを要せず。 法律上其事業を行うべき職権を有する行政官庁をして、適宜に命令を以て之を定めしむるを至当とす。 是れ憲法第六十二条第二項に於て「但シ報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ他ノ収納金ハ前項ノ限ニ在ラス」と規定せる所以なり。

新に租税を課し及税率を変更するは、法律を以て定むべきことは、前述する所の如しと雖ども、此憲法が効力を生じたるときに行われ居る租税は、更に法律を以て是を改正せざる限りは、凡て従前の租税及び税率に依て之を徴収すべきものとす。 蓋し国家は其必要の経費に応ずるが為めに、一定の歳入あるを要すればなり。 憲法第六十三条は、此事を規定して曰く「現行ノ租税ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ旧ニ依リ之ヲ徴収ス」と。 意味明了、別に解釈の要を見ず。

第二節 国債

憲法第六十二条第三項には「国債ヲ起シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ」と規定せり。 国債とは国家の負債を云う。 抑も国債は国家会計に不足を生じたる場合に、之を補わんが為めに募集するものにして、其体裁は種々あるも、之が為めに利子の支払を為し、元金の償却を要し、国民の負担を増加せしむるに至ては一なり。 而して其結果、或は国家の隆盛存亡に関係なしと云うべからず。 故に之を募集するは、政府の専断に委すべからず、必ず議会の協賛を要することとせり。 又紙幣は、其名は国債にあらずと雖ども、其実は無利息の国債にして、尋常の国債と同じく、国家の資本に重大なる関係を有するものなれば、仮令明文なしと雖ども、本条に包含するものたること勿論なり。 又大蔵省証券の如きは、出納上一時使用の為めに発行し、其発行したる年度の収入を以て支払を為すものにして、通例は大蔵省計算の範囲のみに属する負債なれば、議会の協賛を経るを要せずと雖ども、若し予算に違い発行したる年度の収入を以て支払の順に至らざるときは、其支払を為し得ざりし分は、転じて国債と為すの外なし。 此の如き場合に於ては後に議会の承諾を経ざるべからず。 且此の如き負債も必ず軽少の利子を要し、此利子は到底国庫の負担となるが故に、毎年議会の協賛を経て発行の最高額を定め、此定額に超過して発行せざらんことを要す。

国庫の負担となるべき契約とは、例えば官庁の建築に関して請負人と結ぶ所の契約、又は功業を奨励せんが為めに会社と結ぶ所の契約の類を云う。 此類の契約の中、年々要する所の額を予知すべきものは、之を予算に定むるを得べしと雖ども、其然らざるものは、之を定めんと欲するも得べからず。 例えば鉄道会社の資本に対して、年八朱の利益を保証したる場合の如きは、其果して補給を要するや否や、又之を要するとするも、果して若干の補給を要するやは、予め之を知るべからず、従て之を予算に定むるを得ず。 然れども、其果して補給を要するときは、国庫の負担となるが故に、予め議会の協賛を要することとせり。

第三節 予算

予算は、国家毎年の歳出入を予め見積りたる、一の出納表に外ならず。 憲法第六十四条第一項には「国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ」と規定せるを以て、政府は毎年必ず予算表を調製し議会の協賛を経ざるべからず。 然らば則ち何が故に毎年予算を議定するを要するやと云うに、少くとも三箇の理由あり左の如し。

第一、年々の収入支出を概知する事
国家の歳出入は、毎年多少の変動あるを免れず。 故に毎年の初めに於て、過去の経験と将来の推測とに依て、其年中に幾何の収入ありて幾何の支出あるやを概算し、不足あらば予め其準備を為して成るべき丈け収入支出の相平衡せんことを計るを要す。
第二、行政事業の範囲を定むる事
行政の諸機関は、各々国家の為めに十分の事業を起さんことを力む。 然れども国家が或る一年に於て使用するを得るの所の額は一定し、従て其格段なる事業の為めに用ゆるを得る所の金額も亦一定せるを以て、平生に此制限を超えざらんことを督制するものあるを要す。 若し一定の企〓あるにあらざれば、諸省より起業の為めに費用を要求せらるるに当り、主務省は其許諾を決するの標準を得るに苦むべし。 要するに予算は行政事業を篏制して、之れが為めに臣民の財力を消費するを、成るべく少なくする所以のものなり。
第三、監督の本条と為る事
既に予算あれば、行政官吏は其拠るべき所のあるが故に、年度の終りたる後其果して予定の条項に従いしや否やを判定し、若し従わざる時は、何等の必要ありて従わざりしやを糾問するを得べし。 蓋し予算は、各省大臣に使用するの権利ある所と、其無き所との限界を立つるものなるが故に、之を超過して使用する時は、各省大臣は其理由を弁明して、議会の承諾を得るの責任を有するなり。
予算は毎年歳出入の概算表に外ならざるを以て、之を施行するに当ては、其年の事情に依り予算に定めたる款項(注2)外の支出を要し、亦は予算の金額に過不足を生ずることあるは自然の勢にして、予算通りに之を行うこと能わざる場合あり。 斯る場合に於ても尚予算に拘束せられ、適宜の処分を為す能わずとするは、策の得たるものにあらざるを以て、憲法第六十四条第二項には「予算ノ款項(注3)ニ超過シ又ハ予算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス」と規定し、行政官をして時勢の必要に応じて適宜に斟酌増減するの自由を得せしむ。 而して斯る場合に於て、後日議会の承諾を求むるを必要とせざるは、行政上の必要と立法上の監督とをして、平行調和せしめんが為めなり。 議会之を承諾したるときは其効力は以前に遡て予算の変更したると同一の効力を生ずれども議会之を承諾せざるときは、其結果は将来に向て行政官を牽束し、行政官の責任を生じ、政治上の問題を惹起することあるべきも、已に支出したる金額并に政府の為めに生じたる義務に付ては、之を変更することを得ず。 即ち行政官に其責任を負わしむることを得るも、巳往の行為を取消すこと能わず。
憲法第六十五条には「予算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ」と規定せり。 故に予算案は先ず衆議院に提出し、之を議定せしめざるべからず。 抑も吾憲法に於ては両院を以て同等となし 其権限に於ても一の差異を見ず。 従て政府の提出する諸法律案は、何れの院に前に提出するも、一に政府の選ぶ所に任ずるに拘わらず、独り予算案に限り、衆議院に先議権を与えたるは何ぞや。 蓋し財政は国民の生活に伴うべきものにして、国民の公選に成れる衆議院に密接の関係を有するを以てなり。 亦衆議院をして成るべく他の牽制を受けずして議決せしむるには、貴族院の議決に先だちて議するを必要とすればなり。 斯く衆議院に先議権を与うるも、之を修正するの権利は両院共に同等にして其間に差異あることなし。 英国及普国に於ては予算案は必ず下院に提出せざるべからざるのみならず、上院は之を修正するの権を有せず、只全体に付て可否するの権あるのみ。 仏国及米国に於ては、上院下院共に国民直接の代表者なるを以て、予算に関しては両院共に同等の権利を有す。 従て上院は予算案を修正するの権利を有せり。 但し前に下院に提出することは、吾憲法と異なる所なし。
予算は必ず帝国議会の協賛を経ざるべからざるは、前述せる如しと雖ども、皇室に限り憲法は特例を設け「皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セス」と規定せり(第六十六条)。 按ずるに、皇室経費は国家の元首たる天皇の尊厳を保つが為めに欠くべからざるの経費にして、其使用は一に宮廷の事に係り、議会の問う所にあらず。 従て議院の承諾及検査を要することなかるべし。 但し将来増額を要する場合に於ては、其臣民に負担せしむる租税と、密接なる関係を有するを以て、之を衆議に詢わんとするなり。 本条に所謂現在の定額とは、憲法有効当時の定額、即ち三百万円を云うなり。
国家の歳出歳入は、議会に於て自由に之を廃除削減するを得べしと雖ども、憲法上の大権に基づける規定の歳出、及法律の結果に由り又は法律上政府の義務に属する歳出は、政府の同意なくして帝国議会之を廃除し又は削減することを得ず(第六十七条)。 憲法上の大権に基づける規定の歳出とは、天皇の大権に依れる支出、即ち行政各部の官制陸海軍の編制に要する費用、文武官の俸給、并に外交条約に依れる費用等にて、憲法施行の前後を問わず、予算提議の前に於て既に定まれる経常費額を成すものを云う。 法律の結果に由る歳出とは法律の正条に歳出の額を掲げずと雖ども、法律を適用するに付て必要なる費用、例えば帝国議会の費用、議員の歳費、諸般の恩給、年金、裁判所及会計検査院の如き法律に由れる官制の費用、及俸給の種類を云う。 法律上政府の義務に属する歳出とは、民法上に於て政府の義務に属する支出にして、国債の利子及償還、会社営業の補助費又は保証、公共事業の補助金、諸般の賠償等を云う。 蓋し此等の費用は、立国の目的を達するに欠くべからざるものなるが故に、予算を議する者は其資料を給備するを以て当然の原則とせざるべからず。 若し夫れ議会に於て予算を議するに当り、此等の費用を自由に廃除削減することを得べしとせば、是れ即ち国家の成立を破壊し、憲法の原則に背くものとせざるを得ず。 故に此等の費用は、政府の同意なくして廃除削減することを得ざるものとせしなり。
予算は毎年之を議定するものなるを以て、一年限り効力を有し数年に亘るべきものにあらず。 然るに或る種類の事業は、一ヶ年にして其成功を見ず、数年継続して支出を要することあり。 例えば陸海軍費の一部分、又は工業建築製造の類の如し。 此場合に於て、若し初め一年のみ協賛を経て其事業を起し、翌年に至て議会若し協賛せざるときは、中途にして其事業を廃せざるを得ざるに至る。 是を以て政府は特別の必要ある場合には、数年に亘るの事業を一度に協賛を求め、翌年よりは協賛なくして之を支出することを得るものとせり。 是れ憲法第六十八条の規定せる所にして、称して継続費と云う。 而して継続費は其継続年限中毎年同額の支出を要するにあらずして、之を均分するも又は其額を異にするも憲法の禁ぜざる所なり。
憲法六十九条は予備費に関する規定なり。 予備費とは避くべからざる予算の不足を補う為めに、又は予算の外に生じたる必要の費用に充つるが為めに、特別に設けたる準備金を云う。 避くべからざる予算の不足とは、予算編制の時に予期したる費額よりも尚多額の費用を要したる場合にして、又予算外に生じたる費用とは、予算調製の時に予期せざりし費目、即ち予算中に掲げざる費目を云う。 蓋し予算は歳出人の概算表に外ならざるを以て、意外の事情に依り、予算に不足を告ぐる場合の生ずるは免れ難き所なり。 斯る場合に於て、若し予備費の設けなきときは、当局者は急難の時適当の処分を為すこと能わず、手を空しくして危害を傍観せざるべからず。 是れ予備費の備けある所以なり。 而して予備費を設くるは、憲法の命ずる所なるを以て、予算中には必ず此一項目を置かざるべからず。 予備費の設けなき予算は、違憲の予算なり。 但し予備費の額は憲法の定めざる所なるを以て、全く其時の便宜に依て決すべきものなりとす。
予算は帝国議会の協賛を経ざるべからざるものなるが、若し議会に於て予算を議定せず、又は予算成立に至らざるときは如何。 憲法第七十一条は此場合に於て「帝国議会ニ於イテ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ」と規定せり。 予算を議定せずとは、議会自ら議決の終局を見ずして閉会に至る時を云う。 例えば議会が予算全部を議せざるに、既に閉会の時期に至たるが如き、両院の協議成らずして予算を議定せざるが如き、会計年度の既に始まるに未だ該年度の予算を議了せざるときの如し。 又予算成立に至らざる場合に二あり。 第一は両議院の一に於て予算を廃棄したるとき、第二議会未だ予算を議決せざるに、停会又は解散を命ぜられたるときの如し。 但し之を命ぜられたる後再び開会して予算を議了したるときは、予算は成立したるものとす。 予算を議定せず、又は予算不成立の場合に前年度の予算を施行するの理由は、蓋し予算は国家の存立と行政機関とを運転するに、一日も欠くべからざるものなればなり。
第四節 財政上の非常処分
国家は予算を設けて歳出入を予定し、予備費を置て不時の費用に備う以て足れりとすべきが如し。 然れども未だ以て国家非常の場合に処するに足らず。 是に於てか憲法第七十条第一項は規定して曰く「公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需要アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得」と。 蓋し国家非常の場合に於ては、非常の処分を為さざるべからず。 一定の規律に拘束せらるるが如きは、却て国家の危害を増す所以なればなり。 本条は政府に無限の権利を与うるものにして、所謂非常処分と称するものなり。 然れども此処分を為すには、二箇の条件を要す。 第一、公共の安全を保持する為め緊急の需要あること、第二帝国議会を召集する能わざるときなること、即ち是なり。 各国憲法を按ずるに、此処分を為すの権力を有するものに、三箇の区別あり。 第一は、如何なる場合に於ても議会の臨時召集を必要とするもの、第二は、常置委員を置て其同意を必要とするもの、第三は、政府の独断を以て此処分を為し事後承諾を議会に求めしむるの是なり。 吾憲法は、第三の方法を採れること明なり。 又此処分を為すの方法に於ても、国に依て異なれり。 第一は準備金を置て、緊急の場合には一定の条件に従い政府之を使用するもの、第二、新税又は増税を許すもの、第三は国債を募集し、紙幣の発行を許すもの、第四は処分の区域を定めざるもの是なり。 而して吾憲法は第四の方法を採用せるを以て戦争其他国家非常の場合に於ては国債を募集するも紙幣を発行するも、国家の負担となるべき契約を取結ぶも、租税を起すも税率を増すも、総て議会の協賛を経ずして、政府の専断を以て自由に之が処分を為すことを得べし。 其権力の大なること、蓋し各国に比類なき所なり。
政府右の処分を為したるときは、次の会期に於て帝国議会に提出し其承諾を求めざるべからず(第七十条第二項)。 此場合に於て議会は其承諾を拒むことを得べきや。 曰く、其処分にして前述せる要件を欠きたることを発見したるときは、議会は之を拒絶することを得べきは当然なり。 然れども議会の承諾を拒むは将来に継続する効力を拒むものにして、其已に行われたる過去の処分を廃するにあらず、従て勅令に依り已に生じたる政府の義務の如きは、議会と雖ども之を廃すること能わず。 事茲に至ては国務大臣は其責に任ぜざるべからず。 国務不祥の事として視ざるべからざるなり。

第五節 決算

議会が会計を監督するに二箇の方法あり。 一を期前の監督と云い、一を期後の監督と云う。 期前の監督とは次年度の予算を承諾するを云い、期後の監督とは、前年度の決算を審査するを云う。 此審査を行うが為めに、政府は会計検査院の検査を経たる決算と、該院の報告とを併せて議会に提出する義務あり(第七十一条第一項)。 此の如く会計検査院は議会が立法上の監督をなす準備をなすものにして、専ら政府の為めに検査するものにあらず。 且つ内閣の経費の如きも之を検査せざるべからざるが故に、内閣とは全く独立せり。 然れども又一方に於ては内閣の為めに各省の会計を検査するの責任を有するを以て、全く帝国議会のみの機関にもあらず。 是を以て検査院は内閣に属せず議会に属せずして、議会と行政府との上に独立するところの天皇に直隷す。 而して会計検査院の組織及権限は、勅令を以て規定せずして、法律を以て之を定む(第七十二条第二項)。 明治二十二年五月法律第十五号を以て、会計検査院の組織を定むるに当ては、裁判所と同じく独立の官府となし、其組織は合議体にして検査院も裁判官の如く独立の地位を有することとせり。 其詳細は同法に規定せるを以て之を述べずと雖ども、茲に一問題と云うべきは、本条には政府は其検査確定と共に之を帝国議会に提出すべしとあるが、議会は之を受理して如何なる処置を為すべきものなるかと云うこと是れなり。 若し議会に於て検査其当を得ず、計算上に錯誤あるか、又は予算の規定に反する支出あるを発見したるときは如何にすべきか。 即ち検査院の検査を以て最終の判決となすべきか、将た議会は最高の検査院として検査院の議決を左右するの権力あるや否やの問題是れなり。 或る論者は、議会に此権力ありと云うと雖ども、本条に於ては会計検査院が検査確定すとあるを以て、検査院の判決を最終の判決となさざるを得ず。 議会に於て若し其決算に不当なる理由を発見したるときは、政府に対して其責任を負わしむるの外他に途なきなり。

脚注

(1)
美果 とは - コトバンク。原文では「美菓」と表記されている。
(2)
Yahoo!辞書 - かんこう【款項】。原文では「欸項」と表記されている。
(3)
Yahoo!辞書 - かんこう【款項】。原文では「欸項」と表記されている。