「福島縣會」
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時事新報に掲載された「福島縣會」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
福島縣會
昨日の雜報欄内に記したる如く福島縣會は殊の外穩かならさる樣子にて議員某は議場に建議して曰く抑も我々の議決を以て地方税を支出するは吾々の幸福を保護せんが爲なり吾々は豈不幸を求るが爲に貴重の租税を支出せんや云々故に議案毎に廢棄説を起して徒に時日を費さんよりは寧ろ交附の議案を盡く議す可らさるものと決せんことを望むと發言してより甲論し乙駁し遂に之を議するの可否決を取りしに可否の數二十名つつ正に相半して議長の一決これを可として此建議の次第は議場に於て議す可きものなりと定まりたりとの事なり
我輩案するに此建議の次第を議して建議者の議案の通りに福島縣下の人民は〓〓本年度の地方税〓支出〓〓〓可〓〓〓ら〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓す〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓ならず〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓支出せ〓〓云〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓ひ、一家の臺所〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓して家人、忽ち餒んのみ福島縣會は〓〓〓〓〓〓〓る歟知る可らすと雖も〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓て見解を下たす〓は〓〓斯る有樣に立至る可き〓〓〓〓れずと云はさるを得す誠に〓入たる事共なり
世間に右の新聞を聞て血氣にはやる壯年配〓〓〓〓んか〓を斯て愉快愉快と云ふ者もあらん又或は苦勞症なる輩は扨々困入たる事かな福島縣會は法律を辨へず、府縣會の規則は斯の如し其第何條には云々又第何條には斯る明文ありなとと之を咎めて或は新聞紙の社説なとへ〓す者もあらん我輩は固より壯年配を學て愉快を唱る者に非す又法律云々とて細に縣會の一擧一動を論せんとする者に非す唯今回事柄の意外に出てて殆と論端を開くにも當〓の次第なるに驚くのみ抑も此縣會の議は善にも惡にも到底行はれざる事に非すや一家の臺所に飯米の要用は理に於て當るにも當らざるにも之を給せされば家人の餒るを如何せん其飯米を給するの理非と多寡との議論は先つ之を給するものと定めて後のことにこそあれ此賭易き道理を縣會にして解せざるの理はある可らず然るに事の成行を見れば不審に堪へず故に我輩は爰に道理の桁に就ては論する所なし唯今回の一條を以て官民不調和の一証として視るのみ福島縣廳と福島縣會とは其間柄甚た不調和にして人民は事の行はれざるを知りながら事を論する者なりと認めさるを得ず縣廳より之を見れば實に御し難き人民なり又人民より縣廳を見ても實に奉し難き縣廳なりと云ふことならん其意見相互に背馳して和せさればなり凡そ人類と人類との關係は唯理窟の方便のみて以て相撥す可きものに非す如何なる交際にても一點の情なかる可らず仮令ひ干戈を交る敵味方の間に於ても尚且然り況や太平の世に治る者と治めらるる者との間柄に於てをや其情交の温なる春風の和するが如く冬日の愛す可きが如くなる可き筈なるに今この縣會の樣子を察すれば全く之に反するものの如し慨嘆に堪へざるなり蓋し其原因は〓〓〓〓の〓に非す又唯〓〓一縣の〓〓〓〓〓〓〓のにも〓す〓〓不調和の氣風は近來一層の劇しきを增して〓〓〓〓の人〓に發表するものあるが如し〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓して見る可き〓〓〓者〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓の關係を〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓多し〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓之に〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓ずと云て止む可きや、〓者の本〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓をも謂はずして只管これを〓みす〓〓〓〓〓我輩の爲さる〓なれども御法の一〓〓〓〓〓〓〓者に向て之を求〓〓〓