「馬建忠大院君を以して帰る」

last updated: 2019-09-08

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時事新報に掲載された「馬建忠大院君を以して帰る」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

馬建忠大院君を以して帰る

朝鮮へ派遣せる我公使花房義?君は其使命を全ふし要請談判を平和に結了したるは一昨日既に報道せし所なるが之に續て在馬関通信者の報道□云く大院馬建忠と共に支那に赴きたりと又聞く處に據れは我使節の談判未た完結に至らさるの際即ち去月廿六日清國派遣の馬建忠は大院君を誘ふを其軍艦に至らしめ直に搭載して去り而して朝鮮京城に張紙して云く賊の巨魁は未た其何人を知らさ??衆目の見る所皆大院君に在り故に皇帝陛下其罪を糺さんか爲め之を捕へて歸ると此れ?路に聞く所なれは未た以て確報とするに足らさる?之を聞?先の脳裏に起る所の?感を掲げ以て讀者の考案に供す

??驚悍??多きを以て世上に喧傳なる彼れ大院君李夏應にして俄然死兎の如く馬建忠に攫取せられて遠く彼が平生夷狄視する所の燕京に赴く?は實に意想外の一奇事と云ふ可し是れ果して李夏應が罪を我か日本政府に護を懺悔畏怖智竭き勇??誰??變も其伎倆を施すこと能はす唯一死を免るゝが爲め遠く燕京に遁躓するもの乎或は時運の不可なるを?し暫く身を清國に投し李鴻章氏等と計畫し後日大に圖る所有の逃るゝもの乎未た詳報を得されは之を知るに由なけれ?或は疑惑を起して云く李夏應の多殺暴戻なる一時兇謀具圖に中り暴威俄に張ると雖も既に已に國民の厭悪する所となり之に加ふるに我使節人京兵十壮雄軍艦?を守り外は我が問罪の譴責の畏れ内は開化?の再興して凶謀關内に起らんことを恐れ自から遁れて清國の軍艦に投するならんと或は云く李夏應は國王の父なるも其股肱の臣を屠殺し其后妃を毒殺し其意の欲する所に従へは使節に對して頑陋の説を張り遂には戦端を開き兵敗れて國辱られ社稷宗廟も危亡に瀕するが爲め政畧上より國王其謀臣と圖り竊に馬建忠に托して之を逐たるものならんと或は云く李夏應は今回變乱の巨魁なること明白なれは國王其孝子の情よりして竊に馬建忠に托して身を匿すの地を與へたるなりと皆是れ一種の臆説にして之を抹殺す可らす然れ?夏應自から遁躓するの説は甚た其平生と違ふが如く又國王社稷を慮て之を逐ふの説は夏應智?き勇挫けす□は容易に歩て京城外に踏まざる可し國王孝情より之を脱するの説は最も取るに足らさるものなり何となれは縦令公使?襲撃の事形?明に大院君に連なるも两國の實際情何を?て其王父に問はすや諸?きの事なれは王の孝情何そ此苦計を?ひんや又或は疑て清に國?き馬建忠が李夏應を以して歸りたるは國王其人の父を質と爲して歸り夫の金主?が幹不離??をして宋の?欽二宗を虞と爲し北虜也先が明の英宗を捕へたるが如く以て金帛士女を要るの資と爲さゝるも?を以て朝鮮内治に干預するの資と爲すならんと此説の如きは臆説の最も甚しきものに?取るに足らさるなり清國をして眞に朝鮮國事に干預するの念あらしめは早に其属國たることを主張して朝鮮内外の責めに當る可きに此に出てすして曖昧の計を爲し頑冥不?の一老父を以し去を以て干預の資と爲すこと清國の敢て爲さゝる所なるは智者を俟ずして知り得へし其張紙に云ふか如く今回暴動の巨魁たるを以て?ち糺ふが爲め李夏應を燕京に送るが如きも亦清國政府の所爲ならざるを信す盖し清國政府は朝鮮を以て公然其所屬と爲さす而て陰に其國權を弄し隣邦に闖入し其王父を捕るに至ては絛理を紛乱するの極なれは清國自から其人あり何ぞ此賭易きの不理を爲さんや故に余輩は張紙の乱民の手に成るを信するものなり然は則ち何れの臆説か最も信を措く可しと云ふに抑も?れ大院君は去る七月廿三日兵士の不服者あるに乗し之を敎唆して逆乱を起さしめ其王妃大臣を弑殺するに一任し親ら政治に干預し其大臣を貶?謫死し官省兵府を?興し僅に三十餘日間に政令を改革すること少からすと聞く曾て不敬の上書を爲し罪を國王殿下に獲て囚獄の中に在りし白楽?に上將の印緩て授け凶暴の兵を指揮せしむるに至り國王は全く幽囚の裡に在る尸王たるに過きざるの形状なりしに花房公使再入の后?間もなく馬建忠に攫取せられて燕京に去りたるは何そ其始め桀?驚悍の?名と相似さる殆んど人をして前勇後怯孰れにか虛妄あるを疑はしむれ?夏應の機智雄才は前月數日の社説に述るが如く虛妄ならざるなり又今日去て燕京に行きたるも實説なり盖し夏應は天賦英傑なるも聞見狭隘偏見固陋の一老翁のみ徒に摂政時代の故知を頼み頑冥の遺老を上けて外交既始の當世に立たんと爲し其機智詐謀も施すに所なく神氣阻喪の際馬建忠は此老居れば要請を干格し兵?を煽動し朝鮮を一敗塗地の悲況に沈め災害の及ふ所此に止まらざるを慮り一は之を恐嚇して一は之を慫慂し暫時身を我艦内に潜めんことを勸め欺て燕京に歸たることなる可し其際に國王之を止め斥和?之を拒まざりしは危急の勢に逼られ情を知る者は已むを得ざるに附し實を知らざる者は具に艦内に伏すとなし以て此一奇事を成らしめたるものならん故に余輩は此一奇事に就き將來に望む所は李夏應其人をして夫の????が?はれ???に在りし如く?????????必す???を??に加ふること????國民の?明に?くの??を干格すること無く又清國をして此老を實として朝鮮國政に干預することを然らしめは此老の燕京行は日支?三國の交際を保持するの一慶事なり