「官立公立の學校と徴兵令」
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時事新報に掲載された「官立公立の學校と徴兵令」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
官立公立の學校と徴兵令
我輩は本月八日の社説に於て徴兵遁れの弊風を論じ現行の徴兵令の根本より改正するは容易なることにあらざる〓〓〓ば先づ差向きの處にて此弊風の一斑を防ぐには官立公立の學校に兵役猶豫の特典を廢止すること〓〓〓〓るべしとの言を述たりしが今その〓に就て尚〓〓〓〓〓まんにそ〓そ〓官立公立學校〓〓る特許あ〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓たるものにして國民〓國のために〓すは必ずしも〓事に限らず文も亦甚だ〓〓なり故に少年生が神妙にも學校に入りて今正に勉強〓中と云ふ其者を取て兵役に就かしむるは云はば職業〓びのことにして國のために謀りて自然に學者の數を減ずることあれば惜しむべしとの〓〓あらんと雖ども〓今日の〓〓を見れば仮令へ徴兵令の行はるる處を〓〓立の學校にまで推し及ぼすも就學生徒の其局に當〓〓〓〓〓誠に〓々の〓にして論ずるに足〓〓きもの〓〓〓〓〓したり例へば爰に生徒三百名の官〓立學校ありとせん〓〓〓〓の年齡〓大抵十六七歳より二十四〓〓にして徴兵〓〓の者は大抵〓〓五分の一即ち六十〓〓〓〓〓〓〓〓全〓の〓〓〓〓〓〓〓〓は〓て〓人〓〓〓〓〓〓〓〓十七人の内〓集人員十六萬七千三百〓〓六人、〓〓〓〓人員六千二百九十三人、徴集猶豫人〓〓〓〓五千二百人、〓〓〓人員五萬二千八百五十人〓〓〓〓〓〓〓の内〓〓〓く可〓は徴集猶豫人の多〓〓〓〓て〓〓數は官〓〓〓學校生徒〓〓〓〓れたる〓〓〓〓〓〓〓〓の學校に猶豫の特典を廢するときは〓〓人員は必ず増加して少なくも二十〓〓〓〓には上〓〓〓〓〓ならん〓〓〓の〓〓する〓〓り左れば此徴〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓の内より毎年一萬〓〓〓〓現役〓〓〓〓〓〓〓〓〓に付き五人の〓〓にして〓の學校〓〓〓〓〓〓〓六十人の内より〓〓〓〓〓〓〓〓は三〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓の生〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓に於〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓も兵役〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓に〓〓〓は最も之を憚り假令へ徴集の適齢に達せざる者にても將に其時の來らんとするを恐れて就學中にも安からざる思を得せしむるものなりとの説あり、此説自から道理なきにあらず徴兵の現役に服すると服せざるとに拘はらず身の安心は學問の修業に大切なるが故に文を重んずるの塲合には甚だ然るべきことなれども此安心なるものが眞實に學者の身のためにのみ用を成すか成さざるか之を吟味せざる可らず本月八日の紙上にも云へる如く徴兵遁れの事は民間普通の談柄となりて中にも官公立學校の如きは其遁れ塲所として最も稱贊せらるる所のものにして丁壯の年齡に近き者は何學を學ぶと志を立たるにもあらず學校の教則如何を問はず教師の人物如何を論ぜず唯其學校が官立公立とあれば爭ふて之に群集するのみ甚だしきは從前私立學校にてありしものも徴兵令を利用して學校の繁昌を僥倖せんとし俄に口實を設けて官公立の体裁に改め以て徴兵遁れの少年を招き入るるものあり斯る次第なれば當初政府にて天下の文を重んじて學生に安心の地位を得せしむるの精神は誠に優しきものなりと雖どもその賜は目指す者の手に入るよりも寧ろ横合より出たる狡猾兒のために掠め去られたるに異ならざるなり、以上は尚ほ忍ぶべしとするも爰に忍ぶ可らざるは近年各地方の困窮は古來未曾有のことにして納税のために破産する者さへ少なからず而して今學校費の出處を尋れば或は地方税と云ひ恊議費と稱すと雖ども人民の身に於ては矢張り租税に異らずして其出す所の一錢一厘も俗に所謂血の涙なる其金を以て學校を維持保存する其學校に入る者は徴兵遁れのためなりとは我輩は一片の徳心、天下の公衆と共に之を惡み幾千百の學生中仮令へ一名たりとも斯る狡猾兒は之を摘發して擯けんことこそ欲する所なれども他人の心術は我視力の達する所に非ず唯事の成跡に於て徴兵入校の日に多きを見るのみ入校多ければ學校の組織を廣大にせざる可らず其組織廣大なれば其費用も亦増加せざるを得ず而して其費用の出處は唯貧民の貧農あるのみ斷腸に堪へざるなり