「地價の低〓」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「地價の低〓」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

地價の低〓

今度法律第二十二號を以て地價の特別修正を公布し來る明治二十三年より修正の地價に依り地祖徴〓の事となりたるに就ては昨日の雑報にも記せし〓り地價低減の總額は大凡一億二千九百萬餘にして地祖は之が爲めに三百六七十萬圓地方税は百萬圓合計殆んど五百萬圓を〓ずる割合なりと云う抑も地價低〓説の〓りは昨今の事にあらずして今の全國の地價は地租改正に由りて定められたるものなるが當時の事〓に〓て察するに改正の事たる未曾有の大事件にして其始に當りては當局の人々と雖も聊か其成否を疑いし程の次第にして且つ最初に着手したる部分には官民雙方ともに事に不慣の事〓もあり〓々丈量の手續頗る寛大なりしが故に意外の恩澤に浴せし處も少なからざりしかども次第に事の捗どるに〓い手續も整頓して以前の如くならず爲めに同じ改正にても其前後に由り大に幸不幸の塲處なきにあらず又其地價を定めたるは何を以て標準となしたるやと云うに〓傍の市邑宿〓等の米價を取り之を平均して其地の地價を定めたるものなるが當時國中〓輸の便は未だ今の如く開けずして〓て各地方ともに物價の相〓甚だしかりし其時代の平均米價にて定めたるものなれば今日より見れば全國の地價其平均を失して不公平少なからず百事草々騷々しくするは政略の許さざる所にして不公平とは知りながら看す看す〓ごしたる事もあらんかなれども時勢の變〓するに〓い其不公平は益す益す度を〓し來りて到底〓ぶ可きにあらざれば政府に於ても今度修正の事に及びたるならん誠に美擧にして全國の人民は〓に始めて年來の不平苦〓を伸暢することを得て與に均〓の澤に浴する事ならんと我輩に於ても共に〓喜の〓を表する者なり然るに世間にては説を爲すものなきにあらずして曰く地租の〓額は誠に喜ぶ可しと雖も三百萬圓は政府の歳入中少なからざる金なるに然るに目下政費多端を告ぐる際、國庫は〓して斯る減額を許さざる可ければ政府にては一方に地租を〓じたる其傍に一方には更に他の税源を求め其不足を補充する計畫にて〓々新税制の發布ある可しなど〓ふ者あれども取るに足らざる妄説なりと云わざるを得ず如何となれば若しも政府が一方に地租を〓じながら又一方に新税説を開くときは唯これを右に與へ左に或るものにして小兒を欺く手段に〓ぎず斯る兒戯の〓〓は政府の爲す可からざる所なればなり且つ我輩の聞く所に據れば政府の從來の財政の有樣にても諸〓の税目中、意外に〓入の多きものあり又は政費〓〓の實行〓にて今の地租に對し凡そ一割位は容易に〓額するを得べしとの計算にて數年前より〓に其議もありし由なれば今度の低〓も全く此邊の計畫に出でたるものにして他に〓案もあらざる可きは我輩が素人と共に偏に信を措く所なり左れば新財源云々の説は全く無根なり〓〓〓〓の〓額に就ては世人と共に〓を〓〓〓の〓〓〓〓唯我輩〓〓〓〓〓す可きは此〓〓〓〓の〓〓にして〓第二〓〓〓〓〓〓〓〓町村田〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓して〓せしむ〓ありて〓〓〓は如何にして其〓〓を定むるや知る可からずと雖も何れ府縣よりの上申を〓準とすることならん而して府縣の官史は何を標準とするやと云うに固より尋常一樣の人間なれば〓以て之を見、心に左なりと認めたる所に依りて之を定る外ある可からず然るに足るを知らざるは世間普〓の人〓にして他人の新に幸を得るものを見れば己れは從來滿足の地位に在りながらも自ら之を忘れて只管他を羨む〓なき能わず今度の改正にて低〓の恩澤に浴したる者共は今日に至りて漸く他人が〓に十年前に得たる地位に〓し始めて年來の不平を伸べたるまでにして特別の利益を受けたる次第にはあらざれども例の人〓卑劣の常として前者より之を見れば何か一種の僥倖として恰も隣家の盛事を嫉む〓に堪えず然かのみならず其新に恩澤に浴するものゝ中にも其中に立入りて見れば從來の仕來りと人々の感覚とにより厚薄輕重一樣の恩を爲す能わずして其苦〓は一方ならざる可し今後の修正は恩澤均〓の〓神にして其盛意は農家一般の感〓する所なれども施行の實際には右の〓りの次第にして苦〓も少なからざる事なれば當局者は能く此邊に〓意し呉々も折角の盛意を空うせしめざる樣いたし度事なり