「定期賣買税の改正を望む」
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時事新報に掲載された「定期賣買税の改正を望む」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
今の賣買税は〓〓の〓立に〓るもの其多きに〓も當時の〓業に乘せられて金利の安きに苦しみ実本の用樣なき〓〓〓むを〓言して事業を企て其〓〓損益の〓〓〓〓〓〓の五分利を目安にして算出したることなれば〓〓〓〓〓〓〓社會の實地に金利の〓〓するとき〓株〓〓の〓〓に〓ふて〓〓〓に〓まるもの甚だ少なか〓〓と云ふ其〓〓を譬ふれば淺瀬と〓えもれて〓〓も〓〓〓〓〓も上流は〓けありし堰が〓れて〓めて〓〓〓からざるを〓る〓〓中〓にて〓ふものゝ如し會社事業の困難も其本を糺せば敢て驚くに足らざれども此上は只目下の急を救ふの外なきを以て差し當り株券の價格を維持するの一法として嘗て時事新報紙上に從來人民より官邊に差入るゝ身元保證金等を公債證書に限りたるを今後改めて確實なる會社の株券に限ることゝするか或は二者同樣に通用せしむ可しと論じたる所の趣意を擴め更に定期賣買の約定に課する税金の割合を公債も株券も同額に改正せんことを希望せざるを得ず
取引市塲に於て定期賣買を約定するごとに課せらるゝ株券の税率は各約定代金高の萬分の六なるに獨り公債證書の税率を萬分の三即ち株券の半額に止めて取引の便利を厚くしたるは身元保證金等を公債に限りたると同じく公債證書に私して其價格を無理に維持するの意に外ならざる可し此計略果して有効なりとすれば今の時に當り株券の定期賣買税萬分の六を改めて萬分の三となし公債同樣に取扱ふときは或は〓分か會社事業の困難を救ふに足る可し吾輩は元來政府が獨り公債を愛して株券を繼子の如く觀るを喜ばざるものなれども今日特に其繼子等の不幸を憐むは事業成就の彼岸に達せざる〓に當て折角の計畫を水泡に屬せしめんとするを傍觀に忍びざればなり况んや川上に堰を作りて深き淵を淺瀬を思はしめたるも即ち其母が生ぬ子を庇護するの細工に由りたるの事情なきに非ざるに於てをや數多き〓〓の中には内〓の經營宜しきを〓ざるより自滅を待つの外なきものもある可しと雖ども基本確實なる會社にてありながら唯金利上の變化に由て困難の〓に沈まんとするもの少なからざるが爲に我輩は此〓より立論して會社の株券に〓〓〓價を〓たしむるため政府に向て間接の反古を望む者なり且この〓〓たるや敢て政府を煩はして哀を乞ふの保護に非ず唯財政の當局者が從來特に公債を愛したる其愛を割て株券に及ぼさんとするまでのことなれば定期賣買税改正の如きは明日にも實行に〓からざる可し本來財政とは日本國の財政にして國の一局部たる政府の便不便のみを論ず可に非ず一國の大計より見るときは公債も日本の公債にして株式も日本の株式なり両者の〓に何等の輕重あるや我輩の聞かんと欲する所なり