「北海雜説 二」

last updated: 2021-12-25

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時事新報に掲載された「北海雜説 二」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

土地貸拂法

土地分與の方法には種種の得失あるべし北海道の農事は〓〓の然らしむる所、一年一作に過ぎざるが故に分與の法を立つるに當ても關西地方の如き一年二作又は三〓〓るものに比すれば三倍内外の面積ありて始めて〓〓〓〓するを得んか而して現行の分與法如何を尋るに米國にはホームステツトとて移民一戸に付凡そ二十〓〓坪づつを無代價にて給與し以て奬勵するの法もあるよしなれども或る學者の説によれば土地分與の容易〓して恩に過ぐるは移民奬勵の法にあらず其弊害寧ろ甚だしきものありと云ふ我が北海道の移民策も當初米〓を〓〓して畫策に與からしめたる由なれば自から類〓の〓もあることならん■(「研」のつくり)は兎も角も本道未墾地の拂下代價は千坪に付一圓と定め墾成の後上納するの法な〓〓殆んど無代償〓〓にして所謂恩に過ぐるが故に縉〓〓〓の輩は之を奇貨とし盛に良地を占有して拓殖の〓〓〓〓〓こと〓〓からず規則によれば墾成を怠る者は其所〓〓を剥ぐ可しとの約束なれども多くは申譯に過ぎざる開拓をなして所有權を持續する者比比みな然り某華族が沃野百二十萬坪餘を買受け開拓に着手せし〓〓〓〓年にして成〓僅に四町歩なりと云ふ此割合に〓〓〓するときは皆成は五百年の後に非ざれば能はざる〓〓〓の如くにして年年開墾の〓を示し計畫年限の〓〓〓〓〓〓〓〓を差出すの慣行なれば殆んど其底止〓〓〓〓〓〓ずして拓地の放棄は無期限に等しく唯〓〓〓〓〓〓すのみ〓し〓〓に拂下の面積は一人十萬坪〓〓〓〓〓〓〓〓大なる〓〓の爲めには制限外に出る〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓火〓を〓〓するの〓〓なら〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 開墾策は國家永遠の長計に大關係あるが故に輕率に立言す可らざるが如くなれども試に鄙見を略述せんに内地にて農家の所有地毎一戸一町歩以下にて十分なりとすれば之に對する本道の地面を其三倍として水呑百姓一戸に一萬坪内外を所有せしむるときは之を耕耘するに全戸の力を要し以て全戸を養ふに足るべし之を基礎として無代償にて給與し着着成功ある者には宜しきを計りて猶更に給與すべきも最初より廣大なる地面を求むる者には右一戸一萬坪の基本面積以上の分に對し相當の高價を徴し或る期限内に果して墾成せば既徴の地價を返戻して奬勵し其成功する能はざる分は他に轉與して而して其間に公平を失はざるの方法こそ或は時弊に適して將來にも亦得策ならん歟聞くか如くんば石狩國内の樹林地にして十萬坪以上の無所屬地は殆んど無しとのことなれども其實際に墾成し又は開拓中のものは果して全土の何割に當るべきや本道を遊歴する者は便勝の地到る所に某某の用地若くは所有云云の木標を認むるならん標木の漸く古色を帶びたるは正に是れ經年の證なれども其域内の草木は依然たる太古のものにしてイツ開拓すべしとも思はれず要するに本道の沃地は豪富縉紳の豫備財産とも云ふべき觀ありて拓殖の主意何くに在るやを知らざる上に其占むる所は何れも便勝の土地にして而も廣きに亘るが故に之を開かざる間は又その奧に入ること能はず恰も他の移住者の爲めには墻壁を設けて入れざると同樣なれば啻に自家買受の土地を耕さざるのみならず併せて人をして他に着手するに由なからしむ今や移住の氣運漸く進みて人人土地を撰定せんとするに當り空しく要地を不毛の儘に放棄するは誠に遺憾の限りなれば一日も早く規則を改正し相當の處分を施して開拓の實効を速にせんこと切望の至りなり

序に一言の附記すべきは土地撰定に關する心得なり例へば一望して河岸の肥沃、舟楫の便利等を速斷し又は平原なれば開拓の勞少なし抔との考案より■(つつみがまえ+「夕」)卒に他所を撰定し軈て融雪の頃に至りて洪水に浸され俄に轉地を議するが如き或は雪中に山川の便と地勢の平坦なるを眺めて之を定め夏季に及んで始めて其沼なることを發見するが如き恰も迂濶に似たれども一箇年の經過を充分に見定むるの遑なくして用便旁旁撰定するものは堆雪と洪水の何物たるを知らずして徃徃失敗する者なきに非ず今極めて短日月の間に其要■((「黒」の旧字体のれんがなし+「占」)+れんが)を測定せんとするに年の四月五月の交より六七月に至る三箇月以内に視察するときは其餘の九箇月間は普通の想像にて足るが故に必ず大過なきを得べし是れ北海道と内地と其趣を殊にするものあればなり