「議院の停會」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「議院の停會」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

議院の停會

衆議院が昨日を以て七日間の停會を命じられたるは去る十四日の會議に於て撰擧干渉に關する緊急動議を〓〓したる爲めなりと云へり抑も干渉の事實如何の問題は姑く〓き兎に角に公會の議塲に於て斯る〓議を爲したるは政府當局者の信用如何を世間に表白し取も直さず一種の信任投票を試みたるものに外ならず我國目下の事體に於ては議會の信任如何に由りて當局者が〓〓を〓する必要もなければ假令ひ如何なる議〓を爲すも單に院内の〓に止まるものとして輕々に看〓し去れば夫迄の事なれども其成行を考えれば之が爲めに一般の人心を動かして容易ならざるものあるのみならず此儘にして推行くときは議會今後の論勢に就ても懸念す可きものなきに非ざれば政府が此際に處して停會を命じたるは臨機の處分として止むを得ざるものなる可し思うに議會は此一事の爲めに反省の〓を催ほし其言論を穩にして無事に四十日間の會期を全うするか又は毫も改むる所なくして益々其熱を高くし更に停會に次ぐ不幸を見るに至る可きやは一に今後の擧動如何に在りて其何れに出づるや其人々の隨意なれども實際の効力は兎も角も〓に議會の議〓として其問題を〓したるからには云わば議會の顔も立たるものなれば先づ此邊を花にして穩に切上げ今後を謹むこそ智者の事なる可し然りと雖も前會の解散に引續きて又々今回の如き不始末とありては假令へ此會期は停會の一事のみにして幸に無事の成行を見ることあるも來期の有樣如何に就ては更に懸念の〓なきを得ず年々歳々かくの如くにして次第に推移るときは其結果は啻に政府議會雙方の圓滑を欠くに止まらずして一國の治安の爲めに容易ならざるものある可し而して事の原因を尋ぬれば自から責の歸す所ある可きが故に我輩は更に意見を陳して政府當局者の〓意を乞う所ある可し