「露國皇帝崩御」
このページについて
時事新報に掲載された「露國皇帝崩御」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
露國皇帝陛下には豫て御不例に亘らせ給ひ幾回か御危篤と承りしに遂に一昨日崩御あらせ給ふとの凶報に接せり御壽四十九歳猶ほ〓〓にも〓ませ給ふのみか常に平和の父と稱せられたる英明の君主にして早くも今日を致したるは實に哀悼の至りに堪へず天の命〓〓如何ともする能はざれども御生前の御〓〓は誰か〓に景仰せざる者あらんや抑も今の文明諸國にては政務の機關をのをの自立するものありて皇帝若くは大統領等の一頭終焉を告ぐることあるも唯その國の一囚事たるに過ぎずして別に政治上に大影響を及ぼすことなけれども露國の國情は全く之と異にして内伯外交すべて皇帝の親〓〓決し給ふ所なれば皇帝の一擧手一投足は直に〓〓消長の〓に關するが故に今回の崩御の如きも自から尋常〓〓の比にあらず露西亞一國の大事は申す迄もなく歐洲列國にも多少の〓〓を來たす可き懸念あるものにして〓〓〓、墺、伊の間に於ける三國〓〓は如何なる景況を〓す可きや佛露間の〓〓は果して永續す可きや否や〓〓〓大問題の湧起る可きや必然にして斯かる〓〓〓形勢に慮し能く今日までの平和を保持したるは専ら露國皇帝陛下の聖徳によるもの多しと云ふ〓〓にして陛下の内閣に接したるに〓ては何人も今後の〓〓〓動搖を危ぶむと共に嗣で即位せらる可き皇太子陛下には未だ御少〓の御事なれば〓〓〓〓する所如何なる變動を醸さんかとて更に將來を憂ふる者もなきに非ず前記〓國の國情を黙し見れば或は至ることもある可くして皇帝の事を好むと否らざるとは關する所〓し〓からずとは雖も亦一方にて〓察すれば宇内の大勢は〓國情の能く左右し得可き所に非ざるのみか現に獨逸にて先帝の崩御あらせ給ふや今上陛下の年少〓説〓亘らせられしが爲め萬一の事もやと人々の憂慮一方ならざりしが授即位の後は意外にも老成の經綸を抱きて〓に議た〓るを見れば露帝にても亦此如く其位と共に其心も畏〓て内外共に思ひの外なる新君主を〓し奉ることならん我〓〓露國皇帝の崩御を悼むと同時にその帝位の永く平和の父たるに負かざらんことを期するものなり