「第八議會/占領地に定期航海を開く可し」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「第八議會/占領地に定期航海を開く可し」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

第八議會/占領地に定期航海を開く可し

前期の議會は廣嶋に開設せられて名譽の歴史を留めたりしに今また同じく戰爭中本日を以ていよいよ第八議會を召集するに至れり本議會は臨時會と同じからざるが故に種々の議論も〓ることならん中にも豫算案は〓期以來紛爭の一大原因たりしことなれば議事の〓行に就て或は窃に懸念するもある樣なれども國家の前〓には〓ほ悠々たる時日の存するあるに反して軍國の大事は現に眉〓の間に〓りつゝある今日なれば先づ其急なるものを大切として務めて妨害を〓け夫の紛爭の種となる可きものは都て戰後に讓りて萬事落着の上、積る思を心の儘に發露す可し蓋し〓なるもの〓して動かざるに非ず動くもの亦〓して〓ならざるに非ず一〓一動ただ國家の緩急と相俟ちて其宜しきを失わざるこそ我帝國議會の世界に對して重きを成す所以なれば國民の第八議會に向て期望する所は大波瀾にもあらず大改革にもあらず優然〓らざるの中に威を存じて以て〓征軍に聲援を與へ以て國家の大業を翼賛する一事に外ならざれば議會も必らず爰に見る所ありて其〓行極めて〓〓無事なる可きは我輩の想像して敢て疑を容れざる所なり議會にして此の如くなれば政府とても亦濫りに喧〓を買うの法案を提出することなかる可く雙方ともに謹愼を守るときは議會を定めて閑却の感あることならん隨て世の論者或は會期を短縮す可しと云う者あれども我輩の所見は未だ然らず前記の如く紛爭を釀す可き諸問題は勿論深く忌む所なれども其他の議事に至ては〓して一年を等閑に經〓す可からざるもの少なからずして假令へ戰爭中にもせよ一切他事を〓〓して顧みざるが如きは是れ愼重にはあらで狼狽の姿にして帝國議會の品位を傷るものと云わざるを得ず唯議事の〓域を愼み議す可きは宜しく議するを憚らずして後年に模範を垂る可きのみ〓んや開會中人民の議會に〓願するは憲法上の權利なるに會期短縮は直ちに人民の〓願權は妨ぐるものなり云々との法律論もあることなれば議事にして〓に結了せば休會することゝ定め徹頭徹尾他日の歴史の爲めに完全無缺の所爲に出でんこと敢て希望するものなり

占領地の區域は第一軍及び第二軍の兩方面とも〓々廣くなりて海上の實權も〓に我有に歸したるに就ては日本郵船會〓は此間に定期航海を開き〓輸交〓の便を謀る可しと傳える者あり我輩の至極賛成する所なり今や〓征の將士は砲〓〓雨の間に立ちて血を流し骨を〓き具に辛酸を〓しつゝあるその上に〓寒凛洌たる滿州胡天の風雪を戰い言語に名〓す可かならざる困難を冒して〓能く〓戰〓捷の功を奏することなれども〓搬の不便よりして糧食〓服ともに充分なるを得ず一枚の〓衣、一粒の梅干も珍重啻ならずとは實に察するに餘りあることにして天下の讀者と共に日々紙上の報〓に對して常に斷腸の思に堪えざる所なれば吾も人も〓兵の〓を表せんが爲め金圓物品を〓出し又は〓出せんと欲せざるはなけれども〓搬不便の爲め容易に目的を〓し難きと聞きて何れも不如意を歎せざるはなし勿論軍〓には兵〓部あり御用船ありて全力を傾けて需に應ずる今日なれども一々兵〓部を煩わさんよりは成るべく其手數を省きて輸〓を便にするこそ本意なれば此際民間より定期航海を開始するは實は國民一般の希望なる可し隨て一旦開始の上は貨物も定めて多かる可きのみならず我輩の仁慈なる到る處に人民を〓撫して文明の模範を示すが故に兵〓に罹りたる者共もたびたび歸服して其本業に安堵する風なりと云へば我國より彼地に至りて商賣を營むも〓して不安心はなかる可く爲めに商品の積荷も少なからざるを得可し聞く所によれば戰地にては物價非常に高くして徃々我軍人を〓むるよし〓ての外の事にして此の如きは臨時に制裁を設けて不當の利を貪らしめざるよう當局者の〓意ありたき所なれども暫く別問題として兎も角も軍需の供給を充分ならしめ且つ日本人の商店に於て廉價に賣ることゝもならば競爭上自然に一般の物價を低落せしむる好都合もある可しかたがた航海業者に取りて〓して積荷の乏しきを憂へざる可きのみか好し大に利益なきにもせよ甚だしき損毛を〓らざる限りは斷じて實行に着手すべし蓋し此事たる啻に會〓の利害のみならず實に國家の營譽にして戰勝の光と相俟て世界を照し日本國民の義勇にして敏活なるを示すに足るものなれば差向き大東大〓の航路に開て以て第一軍及び第二軍の便に供せんこと我輩の郵船會〓に向て大に促す所のものなり或は船舶欠乏の今日なれば船繰云々の事〓もあらんなれども之を繰合せて都合の付かざる筈はなかる可きに何故に遲々として〓行せざるや窃に惑う所なき能わざるなり