「軍事費の始末と官有鐡道拂下」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「軍事費の始末と官有鐡道拂下」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

軍事費の始末と官有鐡道拂下

前號にも〓べたるが如く假令戰後に償金を得るとしても之を以て軍事公債の償〓に充つるが如きは〓貨膨張の患を招く所以にして國家經濟の不利益なれば軍事費の始末に就ては成る可く〓〓の方法を取り〓〓の〓貨を循環せしめて用を辨ぜざる可からず右に付き我輩は〓〓の外に公債償〓資金としても又今後の軍事費としても最も好都合なる財源なりと認むるものあり即ち官有鐡〓の拂下是れなり此事に就ては當春〓に民間有力者の發〓もありたる所にして單に〓輸上の〓否を察するも之を民有に移すは時勢に順應の處置のみならず其拂下代價は今回の如き軍費に使用して最も恰當のものと云う可し盖し軍費の大部分は國内に流〓するものなれば民間より吸〓したる金を以て又民間に散するは猶ほ公債を國内に募ると等しく今日の經濟に〓當せるは辨を俟たず本來を云へば官有鐡〓は政府の大なる財産なるが故に軍國の緩急等特に多費を要する塲合に際しては其不必要なる財産を賣拂い而して猶ほ事足らざるに及んで始めて公債を募るこそ順序なれば若しも曩に民間有志者の願意を容れて讓渡しと一〓したらば其代金は今頃軍資となりて大に好都合なる可からしに間もなく日〓の事〓るや人心は唯戰爭の一方に奪われて彼の拂受の計畫も世間の〓意を惹くに足らず〓しく一事休止の姿となりて政府は取敢えず公債募集を布令することゝなりしが當時の計算によれば〓設線路の代價概算三千六百萬圓にして恰も軍事公債の第一回募集額三千萬圓の上に六百萬圓を加えたるものなり之を事の初めに於て早く〓に國庫の中に在りたるものすれば第一回の公債募集を要せず又若し事の後に於て拂渡すものとすれば彼の募集額を償〓して餘りある可し然るに其後も官有鐡〓を顧みずして引續き第二回の募集となりたるは蓋し政府が未だ鐡〓拂渡の可否に付き熟議せざるが故ならんと雖も本問題は必ずしも千思萬考を費やす可きにあらず利害は自から明白にして唯代價の當否を〓算すれば即ち足る可き上に時恰も軍費を要する最中なれば代金の用〓に就て別に爭議を生ずることの外に今後更に第三回に着手することもあらば其際斷然趣向を改め官有鐡〓の拂渡を公告するこそ得策なれと信ずる者なり殊に公債應募の人氣も毎回次第に〓却するは免る可からざる數にして隨て最低額九十五圓も或は變じて九十圓となり猶ほ其以下に降ることなしとも云う可からず〓々價格の下落するときは五朱利付も實際は六朱以上のものとなる可くして〓には公債絛例の規定せる範圍の外に〓出することゝならん之に反して鐡〓の拂渡とあれば人氣も亦こゝに新にして必らずや購〓者の乏きを憂へざる可し萬一この〓びにも至ること能わざらんか我輩は公債償〓の一財源として猶ほ當看〓す可からざる財源と知る可し