「新領地を御するの方針如何」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「新領地を御するの方針如何」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

逸田楼主人稿

此度は日〓戰爭に就き文明を談じ仁政を講ずるの興に乗じて或は目指す敵は滿〓政府なり支那人民に非ず明末の血統をして支那の一部に國を建てしめ之に文明の治法と文明の學術とを〓へ我國に恨を結ばざる新政府を造りて日〓韓三國同盟を組織して以て歐洲諸國の侵略を防ぐ可しと云ひ又は今後、我國人の支那新領地に行て實業又は〓育に從事せんとするものは素より永住の〓りにて彼我雜婚の覺悟もなかる可らずと論ずる者あり抑も支那に仁義の聲喧くして仁義の實なきは如何にと云ふに或人の説に殺人の罪惡を殊更に口喧ましく咎むる村には必ず其罪人多く聲高に親孝行のコを蝶々する家には必ず不孝の子あり支那に仁義の〓の盛なるは仁義の人多きが故に非ず本來その國〓に仁義の風なきが故に之を説くこと盛なりなり云々と説き得て妙なり支那人の本性は殘〓刻薄、貪淫醜猥、男らしき公戰に卑怯にして笑〓藏刀の陰柔手段に長け銅〓〓々たる強慾飽くなきの人種にして孔子以來、二千四百有餘年の其間、絶えず説き聞かしたる仁義五常の説法は更に其効力なかりしのみならず偶々以て外面を装ひ邊幅を〓大にして大言を吐くの資料を與へたるに過ぎず

支那人は殘〓刻薄なり先づ彼の國の歴史を繙いて觀るに炮烙の刑を觀て大に樂み人〓を厠中に置て我子に見せたるは妬女毒婦が格外に殘〓なる心の結果なりとするも其外に例へば范〓の傳に(前略)魏齊大怒、〓舎人〓〓〓(范〓)、折脅摺齒、〓〓死、即巻以〓、置厠中、の所業を以て何處の國の歴史中にも全く見ざる所なりと云ふには非ず然れども支那の如く其屡々、〓りたる國は稀なりと斷言する者なり國事犯の罪人を或は煮殺し又は市に〓〓するなどは毎度のことにして遂に其文林中に特別に〓、〓の字をさへ出すに至れり世間には今回の日〓戰爭に於て支那兵士が我野戰病院に〓入して負傷の兵士を遺骸に甚だしき無〓を加へたるを聞きて苟も仁義を〓とする國人にして殘〓の此〓に達するは怪む可しとて驚く者もある由なれども昔、秦將白〓は趙の〓〓〓〓萬人を〓きて抗殺せり降〓〓さへ〓〓にする人〓が何とて負傷兵士に憐みを示すが如きことあらんや而して白〓の當時も今日も支那人の〓は仁義五常の〓〓も彼の支那兵等が我戰死者の手足を〓つは呂后が〓夫人の手足を〓ちたる舊〓故例を〓〓するのみ絶えて怪むに足らざるなり

〓〓〓〓び〓に云く必有〓衣と又云く〓〓面〓、魚〓〓〓、不食と孔子の性行として特に記したるを見れば當時の支那人は〓〓〓してすゑたる〓と〓〓るゝまでに腐敗したる魚肉とを食しても平氣なりしものならん而して今日の支那人も世界に名高き不潔の人民にして幾千年に亘りて不潔は彼等の本性たるを見る可し又彼等が金錢の事に穢くして不潔なるは衣食住の不潔なるに一歩を讓らず百萬兩の財産家も半夜人定まるの後、金銀貨幣を摩して其粉末を利する者あり孟子が仁義を先にして利を後にすと説きしも其人民相應に自から遵理あることなり

支那人は貪淫醜猥の人民なり史に云く後宮數千(西晋世〓武皇帝の後宮)、常乗羊車、宮人〓竹〓于門、〓〓以待之、羊車所至、即留〓宴、と左しも三國鼎立の亂世を承けて四百餘州を一統したる稀世の英雄、司馬炎が羊車に乗りて宮人の間を徘徊するとは驚入たる次第ならずや又云く元の順皇帝元統元年三月、燕〓木兒死、燕〓〓兒取〓定后爲夫人、前後尚宗室女四十人、有交〓三日遽遺歸者、後房充斥不能盡識、一日宴平章政事趙延宅、男女列坐、見坐隅一婦人其麗、意欲與倶〓、顧左右曰、此爲誰、對曰、大師家人也、自後荒淫日甚、〓〓溺血而死、と然るに其君たる順皇帝は天魔婦を催し淫に耽りて終に元の〓稷を亡すに至れり即ち史に云く(前略)各取良家女三四奉之、〓之供養、(中略)於是廣〓女子淫戯、帝諸弟寵臣皆在前相〓、男女裸〓、號所處日〓即〓〓と其他「淫虐日甚」とは支那の歴史中に屡々散見する所にして女色の爲めに國を亡すのみならず身を殺すに至りたる支那の名君主賢宰相は枚擧に遑あらず白樂天が「後宮佳〓三千人、×××××遂令天下父母心、不重生男重生女」と云へる長恨歌中の詩句は詩の想像に非ずして事の實際を〓したる名文字なり今日の支那人が萬里の波濤を超えて外國に行き額に汗して働く所以のものは歸國して女色と阿片とに耽りて死に至らんが爲めの資金を得んとする者なり支那に行はるゝ小説又は「笑府」など稱する滑稽書を觀るに猥褻實に甚だしきものあり又支那新聞廣告欄の大半は催淫賣藥の効能書を以て埋められたり支那の男子は道に婦人の面を見ず見れば必ず双方の間に許す可らざる關係の成立ち居るを證するなりと云へり斯くまで性行の淫猥醜劣なる人民たるを思へば我輩は吾未見好コ如好色者也と云へる孔子の歎息中自から無限の意味あるを信ずる者なり