「航海事業に關する建議の通過」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「航海事業に關する建議の通過」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

航海事業に關する建議の通過

航海業の獎勵は我輩の多年主張したる所にして政府に於ても先年曾て航海獎勵法案を議会に提出したることなれば今日は特に時勢に鑑みてますます〓要を認め〓〓〓〓む可〓〓〓しく之を改めて以て本拠〓會の〓〓を求むるなも〓と豫期せしに未だ〓出の模樣なきより自由黨にては航路の擴張船舶の保護及び海員の養成に關する〓〓案又議員より商〓〓〓〓〓〓〓〓をおのおの提出したるを以て衆院は右の〓〓を認めて特別審査委員に附托し委員會は熟議の上これを修正して一案となし航海事業に關する建議と改稱して去る七日の議事に付せしに豫て與論の歸向せることゝて直に大多數を以て〓〓したり建議の要點は航路助成、船舶保護及び海員養成の三項にして航路助成には特別と普〓との二種あり特別とは政府が其航路を指定し有力なる當業者と特別の契約を結び之に相當の助成金を與へて其業に從事せしむるものを云い普〓とは指定航路以外の外國航海を補助するものにして先づ第一に濠洲航路、孟買航路、浦〓斯德直航路等を開始し他は漸次財源を量りて着手することゝ定め又船舶保護とは有事の日に際し軍〓の〓〓若くは海軍の便用に供するを目的として新に〓船規定を設け合格の船舶には豫め契約を結びて保護金を與えるを云い海員養成とは現今の商船學校を擴張して其支校を〓要の地に設く可しとの計畫なれば前年よりも大に〓歩したる議論にして我輩も此大體に就ては頗る同意なれども政府は果して之を〓納して設計を立て法案を具し以て本期議會に協賛を求めるや否やに至ては未だその必然を期す可からず聞く所によれば委員會に於ては政府の當局者も毎々出席して計畫の可否得失より實施の方法等に至るまで仔細に打解けたる相談を〓げ會議の儀式を略したる程にして大抵委員等の意見と著るしき抵觸もなかりしと云へば一旦〓心の上は咄嗟に法案となすに差支なく又協賛を得る見〓も充分なる可ければ我輩は躊躇する所なく事を〓にせんと欲する者なれども議院開會の〓より内閣にては軍國多費の故を以て一切の新費目を延引する方針なるよし〓に明言したる所なれば航海獎勵のことも或は同一の〓命を免れざる可しと云う者あり蓋し軍國の大事の〓せざる内は百般の費〓を略して萬一に備える大切なるは我輩も之を知らざるに非ざれども今回の戰爭たる我日本が宇内に雄飛する第一歩にして現に新大國となりつゝあることなれば是れより〓商貿易界に於て〓んで其實を〓めざる可からずとは我國民の覺悟にして其〓務たるは戰爭の〓局如何に〓らざるのみならず之を戰爭の目的の一に數えるも亦敢て不可なかる可し若しも尋常一樣の計畫なりとせば假令ひ〓歩的事業にせよ延引論者の所説尤もなれども〓商貿易の〓は爭う可からざる事にして其關門を開き〓行を促すものは主として航海業の獎勵に外なきを認める上は之を延引せずして寧ろ〓施すること當然なるが如し如何となれば軍國今日の時勢は正しく航海業の〓歩發〓を催促するに相〓なければなり各種の事業を見合せつゝある塲合に於て獨り航海業の爲めに新費を投ずればとて他より〓して之を嫉むことなきは我輩の確信する所のみか其金額とても一時に巨多を要するには非ずして當分は百萬圓以上二百萬圓未滿なる可しとの事なれば假りに一歩を讓りて來期議會を待つとせんか其來期議會は矢張り本期の如く〓穩にして無事に豫算案を可〓するやせざるや容易に先見す可からざる所にして不幸豫算不成立ともならば航海の事も亦共に實施すること能わず〓んや本期の〓穩なるは寧ろ來期の不穩を示すに於てをや左れば衆院が大多數を以て該案を〓〓したるこそ好機なれば直に之を各種の事業中より〓擢して本期中に於て成立せしむ可し否らざれば來期又來期となりて國家第一の〓務も他の各種の事業と共に玉石共〓の〓憾あらんも知る可からず敢て當局者の一顧を〓るものなり〓ほ其實施の細目に就ては我輩更に議する所ある可し