「局外國の干渉」
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本文
局外國の干渉
日本軍の勢は寒氣の加えると共に益す盛にして到る處に豚尾兵を撃破り彼等が最後の命綱として頼み切ったる威海衛をも物の見事に攻落し今や將に北京城下に押寄せて滿〓政府を一〓の下に〓飛し去らんとする色あるにぞ〓て支那帝國の〓長に就て莫大の利害ありと稱する英國人の中には心配置く能わず只管日本の勝利を限制して支那を塗炭に救わんことを勉る者もあるよし例へば左に〓ぐる上海メルキユリイの論〓の如きは即ち威海衛没落の以前に早く〓に此事ある可きを豫期して恐〓の餘りに日本に向て脅嚇的の忠告を與へたるものに外ならず
日本軍が山東省に攻撃點を向けたるは即ち彼等が朝鮮改革云々の口實を以て〓したる今回の戰爭は全く掠奪を目的とするものたる事實を證明す何となれば山東省の攻撃は戰爭の終結を〓めざるのみか益すば六かしくする傾向あればなり若しも日本軍にして一直線に北京に向て〓て〓行するならば是れ即ち主義の爲めに〓したる戰爭の目的を貫徹する手段として尚聊か恕す可しと雖も中〓に停〓して敵の艦隊を捕〓し若しくは土地を占領せんことを企るに至ては全く其目的を異にするものと認めざるを得ず日本は〓に敵を足下に踏附けたれば尚ほ永く其頭を押へて自から征服者たらんと欲する者なり然りと雖も歐洲諸國に於て之を等閑に〓〓することなかる可し或は彼等は無力無能なる現在の北京政府を此まゝに存立せしむることを欲せざるやも知る可からずと雖も然れども兎に角に日本をして征服者の位置を得ることなからしむるは斷じて歐洲諸國の利益なることを敢て疑ふ可からず而して事の有樣をして爰に至らしめたるは日本の大失策なり現に西洋諸國の好〓は次第に日本を離れつゝ〓〓〓〓に勝ちさへすれば正〓公〓の如きは一切度〓〓して可なりとの〓には〓〓と雖も同意すること〓〓〓〓〓し左れば今回の〓〓に西洋諸國が〓〓する〓〓〓〓ざる〓〓〓す〓〓〓は〓きに在〓〓〓る可し
區々たる上海一新聞の〓、固より取るに足らざるのみか我軍〓が山東省に上陸するを見て直に北京に衝くものとは目的を異にするなど云うに至ては實に抱腹の次第なれども其立言中頻りに日本が支那を征服する意あらんことを疑い歐洲諸國の力を借りて以て日本の勝利を限制せんと欲する語氣あるは自から英國人中一部分の意志を代表するものと認めらるれば一〓り之を辨〓せんに凡そ如何なる種類の競爭に於ても勝者の手中に利益の落るは當り前の事にして怪しむに足らず彼の“To the victor belong the gpoils”（獲物は勝者の有に歸す）なる語は之を政黨の爭に應用すればこそ聊か〓當ならざるが如くなれども實際の戰爭には昔も今も此字義の〓りに實行して假借することなき常なり現に英國が世界中到る處に版圖を有して「我所領地には太陽の〓することなし」など〓稱することを得る所以のものは畢竟するに英國人が昔より戰爭の獲物を〓るに當て〓慮する所なかりしが爲めのみ然るを今日偶ま日本が支那と戰て我勝利の報酬を得んとするに際し英人の身分として彼れ是れ非難がましき論評を試るとは身〓から其身の舊を忘却したるものと云う可し左れば今回戰爭の結果として日本が支那に對して如何なる請求を爲すも局外の國々が之に就て異存を唱ふる理由は更になしと雖も事の實際に於て日本は〓して英國が印度を横領したるが如くに支那四百餘州を切從へて我物と爲すなど大望を抱く者に非ざればメルキユリイ記者も此一點に就ては安心して可なり盖し日本が此戰に飽くまでも支那を〓しめて眞實に心の底より〓和を乞うに至らしめんことを期するものは唯彼れをして今度の一擧に由り日本の實力恐る可きかを知らしめ今後再び我れに向て無禮の擧動なからしめんが爲めにして詰る所、我大目的は東洋の〓和を永〓に維持する一事に止まり〓して其他に望なきは我輩の斷じし保證する所なり然るに西洋の國々が能く其邊の〓實をも辨へず漫に日本の侵略的方策を恐れ氣遣ひ唯一圖に日本をして戰勝の利を空ふせしめんと勉ることもあらんには或は是れに由て以て支那政府の歡心を得る利益はあらんかなれども日本人が斯る餘計の干渉を〓ばざるは分り切つたることなれば此際歐洲國が所謂兵力的干渉を實施せんとせば先ず日本の好意を犠牲にして以て支那の歡心を求る覺悟なかる可からず目下英佛露獨等の諸國が果して斯る不廉の價を拂いても〓ほ支那の好意を示し何とかして我れを味方として以て他日東洋に大利を占る助と爲さんことに汲々たるは我輩の確かに聞知する所なり故に若しも不幸にして我國が外國の干渉に妨げられ敵國たる支那に對して終局の目的を〓することを得ざる虞あるに於ては我れは最後の手段として右二三の國と同盟の約を結び以て我權理を保護する一策あるのみ我輩が〓日の紙上に日本は歐洲諸國の〓に行わるゝ權力の〓均を支配して自家の利〓を謀る可しとの〓を爲せしは即ち此事なりメルキユリイ記者も此際廣く世界の大勢を觀察し餘計の妄言を〓ふして却て自から〓るなからんこと我輩の切に勸告する所なり