「延期の不可なる所以は延期論の中に在り」

last updated: 2019-09-29

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時事新報に掲載された「延期の不可なる所以は延期論の中に在り」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

延期の不可なる所以は延期論の中に在り

國立銀行絛例中の改正案は曩に少數の差によりて衆院を〓〓し〓〓〓の勝利となりしが貴院にては目下特別〓〓の審査中にて〓〓未だ何れとも定め難き有樣なり〓〓〓〓問題に就き我輩は始めより〓〓を是認し〓る者にして今の時勢に當り〓も銀行たるものが國立と云へる〓〓を〓ひ御用〓〓の餘光に依りて〓〓せんとするが如きは本來商〓獨立の主義ににあらずとて主として事の大躰より立言したれども今一歩を〓めて内實の底を叩くときは〓〓〓〓も唯どの名のみにはあらで他に實際の必要に感じ何とも言い難き利害の爲めに制せられて扨こそ表面に延期の旗を〓てゝ眞一文字に〓行することなりと斷定せざるを得ず即ち其内實の利害とは種々樣々の理窟は差置き兎にも角にも從來の營業上に變動を〓すことなく役員も其まゝにして隨て貸借の法も其まゝにし利益も其まゝにすれば損亡も亦そのまゝにして無事に目出度く數年の壽命を延さんとするものゝ如くなれども我輩は其延期の〓のいよいよ切なるを見ていよいよ其内實を推察しいよいよ延期の不可を判斷する者なり如何となれば數多き外の國立銀行中基礎の最も堅固にして眞實に銀行の本分を守り株主も之に滿足して世間の信用も圓滿なるものは延期〓續の兩〓共に齒牙に掛けずして〓氣なる其中に就て獨り延期論にのみ熱心して喋々するは其喋論の裏面に何か潜む所のものあるを證するに足る可ければなり無病健康の口に嘗めて辛しとも甘しとも云わぬ其物を他の一人に與へて甚だ辛甘なりと訴えれば論より證據なり其人の見掛けに寄らず内實病身たることを斷ずるに足る可し今我輩が其病を診察して苦痛の潜む所を求るに他なし國立より私立に移る其際に從來の行務を洗い立てられゝ一事なるが如し一洗種々の破綻を暴露して延て幾多の〓惑を惹〓すを〓れ成る可く穩便に〓〓を事とするとは窮餘の窮策苟も眼を一國の經濟に放つ者が此實際を知りては〓して姑息を許さず銀行果して病があるときは一日も〓に治療を施さざる可からざるなり婦人の血を〓の輕症なれば三〓間なり四〓間なり靜〓を第一として全快の日を待つも左ることなれども銀行の病は血の〓に異なり其靜臥の間に次第に病變を〓めて扨いよいよ治療を心付きたる時は〓に手後れにして復た如何ともす可からざる事例は毎度世間に珍らしからず天下の銀行婦人に非ず苟も有病と認めたらば思切つて治療に着手し之を其未だ大患に陷らざるに救う可し即ち國立を癈して私立に變ずるは病根の所在を發見する爲めに無二の好機會なるに此機會なるに此機會を〓うして〓斷すること能わず俗に云う臭いものに蓋して不潔不始末のまゝに棄置かんとするは延期論者の無理なりと云う可し或は今日其〓實を顧みずして斷然延期を許さざるときは中には病症の甚だしき迚も大治術に堪えずして一朝癈滅に歸するもある可く〓衆院に於て可〓したるものを貴院に於て否決するときは兩院協議の〓も〓に絶えるのみならず〓に衆院に於て一旦否決したる政府提出の處分案を復活せしむることも叶わずして爲めに來年中に立徃生の姿となるもあらんと雖も本來〓に不治の症とあれば立徃生に〓るゝも繼續の際に〓るゝ〓〓〓るゝは一なり素より〓しむに足らず唯我輩は天下の經濟の爲めに國立銀行の〓を〓く診斷〓〓各自に〓生法を守らしめ其〓〓ゝ者の敵を少なくして無數の株主を救わんとするのみ目的なれば貴院に於ては宜しく國案の大體上より公〓の〓〓を下し〓〓〓〓の欠を〓ひ以て國立銀行の〓を〓んこと敢て〓望する所なり