「朝鮮國債に就て」
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時事新報に掲載された「朝鮮國債に就て」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
朝鮮國債に就て
初め朝鮮にて公債募集の談あるや我輩は〓に我政府の手より貸渡す可しと勸告せしに爾後猶ほ民間に於て募るとの〓のみ聞えて〓延今日に至りしが政府もいよいよ〓心して〓計剰餘金より繰入れたる軍資金中の一部を〓きて之に應ずることゝ定め案を具して議會に提出したるは何れの點より見ても我輩の頗る同意する所なり諸公債に應ずる資金の如きは今度の軍費として數えるも亦敢て妨げなけれども特に其性質を別にして政府の〓〓を〓け議會の協賛を求めたるは我國民の意志を朝鮮人に知らしむる方便として最も〓當の處置と云う可く又彼の政府にても財政の困難日々に〓を告ぐるより公債募集の成否を問うこと矢よりも繁しと云へば今我政府にて引受るときは民間に募るが如き手數をも要せずして爲めに一日を早くするは猶ほ千秋を早くする〓ある可し之を以て衆院にても案に接するや直ちに審査を〓り〓に去る土曜日の議塲に於て全會一致を以て可〓したれば貴院に於ても不日同樣の協賛を與ふ可きは蓋し勿論のことならん抑も我國が朝鮮財政の〓〓を救うは〓に行掛上已むを得ざるのみならず事〓彼の如き〓柄に向て〓〓を握るは凡そ各國の皆ともに〓む〓〓して其目的は〓々土地を割取する等政治的の〓〓は〓き〓〓の〓商賣〓上より見るも債権あれば隨て〓〓〓〓に〓〓〓々の便宜利益を得る常にして假令ひ〓〓は〓〓〓を拂うのみにして皆濟〓〓ならざるにもせよ〓〓〓〓之を償いて餘りあるを得可し即ち債權者は其〓〓〓〓〓に就き恰も主人の〓をなすに足ることなれば日本の利益の爲めにも此地位を〓〓に讓らずして吾に占むること得策なれ、左れば今日は一時の用心〓〓〓〓〓は〓〓〓したる五百萬圓の公債額を三百萬圓に〓〓〓〓ずることも〓せしかども若しも向後必要を生じて更に所望の塲合もあらば三百萬圓にても五百萬圓にても斷じて〓む所ある可からず且又彼の將來を察すれば國務の改革緒に就くと共に種々樣々文明の利器を利用せんと欲するも免る可からざる勢にして電信鐡〓船車を始め印刷製作の諸機械なり陸海軍の武器なり一切萬物新を入るゝ其有樣は我維新の昔に彷彿として隨て費用の大なる想い見る可し彼國の力を以てして今俄に長足の〓歩を企て悉く新式のものを購入して先〓國に比肩せんとするも到底負擔に堪えざるは明白のみか素より國〓に不釣合の沙汰なれば文明の機關を求むるにも濫に多費を散じて濫に贅澤を念う可からず幸い日本にては極めて〓〓なる〓歩をなしたるが爲め明治の年初に買入れたる物品にして今は〓に不用に属し隨て其價も亦極めて低廉なるもの多きが故に朝鮮にて之を讓受くるは實に此上もなき好都合なる可し恰も兄の古着を弟に用いると同樣世間普〓の事例にして彼も是も同じく朝鮮文明の爲めなれば單に金錢とのみ云わずして物品も亦我に需要し我より供給せんこと彼我双方に向て我輩の切に勸告する所なり日本が曾て以前の機關によりて今日の開明を致したることなれば今また朝鮮が之を襲用して成長を待つに〓〓も目出度次第なれども即坐に代償を支拂うは困難なる可ければ之を證書に認めて公債の一部となし漸次に辨償するも苦しからずますます以て便利なりと云う可し斯く金と云い物と云い我國は朝鮮の都合を圖りて飽までも好意を表して厭わざる者なれども如何せん現在の朝鮮政府にては腐敗混亂、律して律す可からざる〓態なるが故に之に金品を投ずるは〓〓白痴を對手に貸借を約するに等しく〓約せられても損失を蒙りても皆我が〓に歸す可ければ事を未然に豫防せんが爲め政務の要機は暫く之を日本人の手に預り猶ほ日本人同士にて貸借すると同樣ならしめ漸次彼國人の開〓を待つ外ある可からず是れは單に我國の利益を擔保せんが爲めのみならず朝鮮革新の事業は〓て我を勞するを免れざれば日本人の續々彼の政府に赴任するは何れにしても今後の必要條件たらざるを得ず我輩は議會が右の豫算案に協賛を與ふると共に現金の外に物品の讓渡及び日本人赴任の事を忘れずして模樣により之を當局に稟議せんことを望む者ない聞く所によれば政府が公債應募の件を議會に提〓したるも議員より異議なき旨を〓じて促したる結果なりという果して然らば何ぞ更に一歩を〓めざるや