「酒精の取締法」

last updated: 2021-08-22

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時事新報に掲載された「酒精の取締法」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

酒の〓税法に對する我輩の所見は前號に述べたる如くにして製造原料の何たるを問はず學問上の檢査を行ひ其中に含蓄する酒精の分量に依て〓税の標凖を定む可しとの趣旨なるが〓〓此上に脱税を防ぐの手段として是非とも嚴重の取締を要するものあるは外ならず即ち〓下衆議院にて審議中なる酒精の營業法なり抑も酒精〓ちアルコールは〓〓上一種の混合物にして獨立の〓〓として使用せらるるものなれども西洋諸國などにて〓之を〓で酒の密造を企て脱税を〓るもの少なからざるより各國共に法律を設けて嚴重なる取締を爲すの常なり日本にて此事に注意したるは漸く四五年來にして〓〓〓〓の〓〓〓〓税法と稱する一種の〓〓法を定め〓〓〓〓の〓〓には一石に付き二十五圓の税を課し〓〓〓〓〓〓〓の〓〓を〓たしめ〓〓〓〓の〓を防がんと〓〓〓〓〓〓〓〓は〓〓にして酒精の需用は〓〓〓〓の〓著しく増加し一萬石以上に達したれば其税金〓〓く〓〓〓〓〓の〓入ある可き筈なるに實際は僅に〓〓〓〓〓〓〓〓〓して其〓は〓〓の〓に〓〓の〓〓〓に化し〓〓〓〓〓〓〓凡そ八萬石の〓〓〓爲りて事〓に〓〓〓〓〓〓〓となれば一石〓〓〓〓〓として三十二萬〓〓〓〓〓〓〓を〓〓る〓〓なり〓〓〓即ち今〓〓〓〓の〓〓〓〓が現行〓を不〓〓なりとして〓〓を加へんとしたる次第なれども我輩の所見を以てすれば其改正案は尚ほ不完全を免れずと云ふ其理由は法の規定は如何に嚴密なるも實行の〓を當局者に與へざる時は恰も紙に畫きたる正宗の刀と同樣にして何等の效能もある可らず本來〓〓法の精神は税金を〓せんとするに非ず唯その營業を〓〓して他の税源たる清酒業の妨害を防がんとするものなれば法文の密ならんよりは寧ろ實行を專一とせざる可らず西洋諸國の如きは酒精と〓との區別〓〓として酒精が一旦酒に化して飮料と爲るときは直に税を課すれども然らずして〓〓〓〓の〓は他の〓材等と同じく無税なる其代りに〓〓法〓嚴密なるは火〓の販賣と同一にして政府にては之が爲め少なからざる費用を要すと云へり然るに我〓〓法は法文の甚だ嚴密なるに拘はらず實際の取締り西洋諸國の如くなるを得ざるは如何なる次第なりやと云ふに我輩の所見を以てすれば〓〓當局者が此法を定むるに際し單に法文の嚴密を〓めながら實行の手段に就て注意の至らざりしこそ恐らく今日の〓〓を導きたる原因なる可し凡そ飮食物より税を徴するに脱税を防ぐの困難なるは各國共に同樣にして〓に酒精の如く之に水を〓じ又は〓物を〓ふるときは忽ち其性質を變じて脱税者の口實を容易ならすむるものに於ては第一其營業者の身元を〓〓せしむるは勿論、其販賣〓〓の盛なる地方には多數の警察官又は收税吏を駐在せしめて外國の輸入品と内地の製造品とに拘はらず一〓監視して取締を嚴密にすること肝要なり〓〓の如く〓〓酒精の密賣買さるる額は税金に積りて凡そ二千餘萬圓なりと云ふ此税金は素より收入を目的とするものに非ざれば假りに其金額を密賣買取締りの爲めに殘らず消費して酒精の營業を監督することと爲すも差支はある可らず而して酒精の販賣〓〓最も盛に行はるるは三府五港〓の大都會なるが故に其取締法は敢て〓〓ならず〓して此手段に依るときは實際に〓〓〓の跡を絶て脱税の道を防ぎ一方に消費したる金は〓方に收め得んこと我輩の保證する所なり然り而して其取締に就て茲に注意す可き一事は工業及び藥品に使用するアルコールの始末なり聞く所に據れば目下我國にて工業〓材に使用するアルコールは其額甚だ僅少にして三千石内外に過ぎざるよしなれども〓〓理化學の應用發達して種種の物品を製造するに至れば其需用ますます増加するは明白にして即ち香水、石鹸の如きを始めとして藥品の中には殊にアルコールを要するもの少なからず然るに若しも酒精と云へば一般に之を飮料に供するものと認めて重税を課するが如きこともあらんには大なる間違ひなれば此點に就ては深く注意を加へ其取締法を嚴にすると共に前に述べたる如く酒精と酒とは全く別物にして一旦飮料の實を〓するに至りて〓めて税を課すること諸外國の實例に倣ひ飮〓〓と工業藥品用との區別を明にして双方共に目的を達せんこと我輩の希望する所なり