「南方進取」
このページについて
時事新報に掲載された「南方進取」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
日本が朝鮮を見限りて政治上の有樣が如何に成行くも頓着す可らずと云へば或は他の威力に畏れて退〓〓るなりなど思ふものもあらんなれども决して然らず抑も國勢を〓り國光を輝かさんとするには内の富貴を謀ること第一にして見る所は只利益の一點のみ必要もなき他の國土を貪りて漫に版圖を擴むるが如きは國力を損するのみにして實際に利する所はなかる可し我國人の〓〓に於ける歴史上の關係も少なからず又彼の戰爭の〓〓〓〓して〓〓〓〓の心も存することなれども熟ら熟ら其〓〓〓〓〓すれば所謂〓土の〓にして到底獨立の國に非ず日本人にして苟も彼の社會を改革して一新の〓を〓せしめんとするには之を占領して我領地と爲し日本に〓〓するが如き自から一法なれども果して占〓したる〓にて如何なる利益ある可きや例へば戰〓の〓〓として〓〓より〓〓したる遼東半嶋なども若し實〓〓〓に〓したらんには收支〓償はずして必ず始末に〓したることならん〓〓とても之と〓〓にして我に收〓〓〓〓なきは〓〓の事實なれば日本に於て是非とも〓〓〓土を〓〓〓ざる可らざる必要あらんには兎も角も苟も然らざる上は斯る厄介物を取込んで自から損し自から苦しむが如きは古風〓略の虚名に照して近時文明の實利を知らざるものと云ふ可きのみ左れば我對韓策は政治上の關係を問はづして單に商賣貿易の利益を期するの一點に止め置き更に首を回らして他方を眺むるときは我國人の開拓す可き塲所は自から少なからざるを〓む可し抑も日本の土地は豊饒なりと云ふと雖も天然の産物には自から天然の限りありて我國土に生ぜざるものも亦少なしと〓ず然るに商賣貿易の本は工業製造に在るの常にして製造工業を盛にするには自から各種の原料を要せざるを得ず其原料の中には自國に産するものあり産せざるものあり天然の約束にして人工を以て如何ともす可らざることなれば自國〓〓〓〓〓ものは之を他の土地に求めざるを得ず國外に〓〓〓〓〓必要なる所以なり〓〓〓〓〓〓〓〓になり〓〓〓〓申す〓も〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓少なからず〓〓〓土地〓〓〓も〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓に富〓て製造の用に供す可き〓〓〓〓〓〓〓〓〓日本人〓着目す可き所〓ものなり〓〓〓〓〓〓〓〓〓は大ならずと〓〓條約の〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓して吾吾の多年來〓望を〓し〓〓〓なりしに今回偶然にも之を得たるは無情の幸にして南〓の端を開きたるものなれば今後はますます此方向に進んで開拓〓〓〓〓げざる可らず臺灣の一嶋さへも我國に益する所は非常に多し况して次第に歩を進めて南方開拓に從事するときは種種の産物を發見して我工業製造を助け商賣貿易の盛大を致すこと疑ある可らず我輩の南進を主張する所以なり或は其嶋嶼の中には既に他の領地に歸したるものもあらん尚ほ未だ歸せざるものもあらんなれども所屬の如何は敢て問ふ所に非ず我輩の所謂開拓と〓必ずしも其土地を取て我版圖に歸せしめんと〓〓〓非ず取て差支なきものは固より取る可しと雖も取る可らざるものは取らずして可なり只その土地を開き〓〓の富源を〓して商賣上に益せんとするのみなれば何れ〓〓に對しても遠慮はある可らず只管進んで其目的を達す可きのみ南方開拓の利益は决して朝鮮などの〓に非ず我輩は日本人が朝鮮に對する熱心を移して〓〓〓〓〓方向に轉ぜしめんことを勸告するものなり