「細功を積て大成を期す可し」

last updated: 2021-12-25

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時事新報に掲載された「細功を積て大成を期す可し」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

我輩は前號の紙上に於て對韓政略の忽せにす可らざる次第を論じたり人或は云はん朝鮮の事は後日大に爲す可きの時ある可し今は野と爲れ山と爲れ其成行に任して可なりと一應尤もなるが如くなれども凡そ何事にても成功は一朝に期す可らず平生細々の辛苦經營を積で漸く大成するものなり例へば身代を作るには朝夕家の經濟に注意し一錢の錢も漫に費さず一枚の紙も無uに棄てず細々積で大を爲すものにして若しも何時か一度は一攫千金の時來る可しとて浪費濫用せば恐らくは終に貧乏を免れざる可し又健康を致すにも平生の注意肝要にして三度の食事に不消化の物を食はず朝夕運動を務めて寢る可き時に寢ね起く可き時に起き日々の養生を藥として始めて壯健なるを得べしたまたま非常に運動して非常に食ふも以て健康を得べからざるのみならず却って身を害することある可し外交も亦斯くの如きものにして一擧偉功を奏することなきに非ずと雖も常經として恃む可らず猶ほ時に一攫千金の幸運なきに非ずと雖も以て經濟の要義と爲す可らざるが如し左れば平生の勉強こそ大切にして日夜孜々として怠らず尺寸の侵害も必ず速に回復を求めて威嚴を立つると共に又一擧一動に親切を盡くして相手の信愛を得ざる可らず斯くて今日一歩を進め明日亦一歩を進めて次第に進みなば遂には我目的を達す可しと雖も若しも然らずして平生の不養生を一擧に償はんとせば種々の餘病を生じて思はぬ不幸に境遇す可し現に朝鮮の事は世論の喧しきにも拘はらず當局者は一向頓着せず多年不養生を致したる爲め病氣は次第に重く最早や堪ふ可らざるに至り一たび刀を揮て大手術を行ひ醫藥に手を盡したるより一時回復の色を呈したれども餘病百出して右を治むれば左に發し前を抑ふれば後に起り國手も殆んど當惑して匕を投じたるに非ずや新主治醫は〓〓〓醫の治療は〓〓なきを得ず却て〓〓せし人なれば今自から大〓〓〓〓に於て必ず〓〓の〓〓あることならん今は大手〓〓〓す可き時に〓〓と云ふも左れば〓も又〓を同うし〓〓餘機の來るを待つ可きにも非ず先づ氣長に介抱して朝夕手を放すことなく以て他日大に手術を行ふの地を作らざる可らず功を一時に貪らば或は斃る可く看護に手を盡さずんば亦斃る可し危急の時と心得べきなり