「都會附近の鐵道」
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時事新報に掲載された「都會附近の鐵道」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
前日の〓〓〓〓〓では政府の〓〓に對して鐵道許否の方針を議决したるにも拘はらず東京及び京阪附近地方の鐵道に關して〓〓〓〓〓の説は既設鐵道の延長に〓る一二線路の外は許可せざる事に决したりと云ふ會員多數の意見如何は知らざれども斯る考を以て鐵道敷設を〓〓するが如きは目下實際の差支に頓着せずして一般の迷惑を顧みざるものと云ふ可し或は東京及び京阪附近の如きは私設の計畫甚だ多し若しも之を許すときは競爭を免かれざる可しとの掛念もあらんかなれども掛念の心配にこそあれ抑も鐵道の弊害は線路の獨占に外ならずして其改良の手段は或る程度まで競爭線を許して自から改めしむるに在るのみ此點より見れば我國の鐵道は官私線共に獨占の弊を免かれざるものにして例へば東海道の官線の如き又日本鐵道會社の東北線の如き著しきものなれども東京附近に就て云へば京濱間の線路の如き恰も一都會とも見る可き東京横濱の間を聯絡するに單に一線を以てして他に競爭の線路なきが爲めに差當り目下の商賣人事に差支を生じて苦情百出、交通の不便を訴ふるは何人も認むる所なる可し我輩の所見を以てすれば京濱間の如きは少なくも更らに二三の競爭線を許して目下の不便を醫するの急を認むるものなり又京阪地方の如きも人口稠密商賣繁昌の都會附近に現在の線路を以て滿足す可らざるは京濱間と同樣にして多多ますます敷設の必要は明白なり或は一地方に限りて數多の線路を許すときは從來許可の標凖〓〓哩數と人口との平均を〓ふに至る可しとの説もあるよしなれども無稽の甚だしきものと云ふ可し〓〓〓〓の〓計表などに人口何人に付き鐵道何哩との比較を記すものなれども是れは鐵道進歩の割合を示したるものにして敷設の標凖とするに非ず若しも斯る標凖を以て許否を决す〓ときは〓〓〓の〓〓〓〓の〓れなる處は鐵道を見る能はざるにも〓るべし〓〓に一歩を讓りて人口を標凖とするも商賣人事の繁多なる都會の人民は往來交通頻繁にして之を他の地方に比較するときは其數は同一にても實際には五倍にも十倍にも計ふること至當なれば單に現在の〓を以て標凖と爲すが如きは决して許さざる所なり鐵道の敷設は何れの地方にも必要なれども東京及び京阪附近地方の如きは特に目下の急を認めざるを得ず當局者の熟考を祈る所なり