「衆議院の奏議」

last updated: 2021-08-22

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時事新報に掲載された「衆議院の奏議」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

衆議院の奏上

議會〓上奏は憲法に於て付與されたる權限なれども實際に其〓能を行ふは何か非常の塲合限り百年の間に一回見るか見ざる程の〓〓にして始めて上奏の〓を認む可し最も慎重して切にす可らざるものなるに開設以來の有樣を見れば衆院の如きは政治上の爭論にも忽ち上奏云々とて其〓能の濫用を試みたること僅々八九年の間に啻に一再のみならず誠に不穏當の擧動にして我輩の甚だ〓〓せざる所な〓しに然るに今回製艦費阻止の上奏に至りては始めて〓を持ちたるものにして能く其〓能を〓したりと云ふ可し抑も製艦費下賜の一條は議會の擧動宜しきを失ひ睿慮を煩はし奉りたるの結果にして今更ら申譯はある可らず或は〓用當時の處置に〓充分に非難す可きの事實を存したるに相違なしと雖も之を責めて其非を改めしむるには自から過なきに非ず然るに議會が正當の〓に由らず眼前立國の〓〓なる軍艦の製〓費を削りたるが爲めに帝軍費恩賜の事に立至りたるは如何にも〓〓の次第にして直に奉還の議に出づるこそ至當なれ或は即座の奉還は事情の許さゞる所とあれば戰〓〓の議會に軍備擴張を決したる時こそは奉還の好機會なりしに尚ほ等閑に付し去りたるは甚だ遺憾に堪へざる所なれども然れども今日に至りて茲に心付きたるは假令ひ〓〓とは云ひながら〓〓の事にして今度の上奏こそは勤めて〓當の〓を盡したるものなれば忠實なる〓議〓〓〓〓〓答ありたるも自から〓〓ならずと云ふ可し奉還の上奏は眞實臣民一般の希望を代奏したるものにして〓家の宿〓にこそあれば政府の當局者に於ても篤と其事情を奏〓に及び恩賜金は申す迄もなく文部官の俸給十分の一の納付をも 〓〓に廢止して一日も早く上奏の言を實〓せしめんこと我輩の切に望む所なり

尚ほ事は少しく違へども上奏の文に付き序ながら爰に一言す可きことあり議會の開設以來議場の論勢を見るに〓力休養云々の口實を以て常に〓費の支出に反對したり戰爭後に至りては休養論も殆んど跡を〓めたれども貴院などにては尚ほ軍備縮小の説を唱ふるものある其理由は現在の如き計畫は國方の堪へざる所なりと云ふに在るが如し今後の成行を〓するに海〓の軍備を始めとして〓〓の計畫に經費の增加を要するは明白の事にして其目的を〓するには〓、增税の決斷に出でざるを得ず今の〓力に增税の餘裕あるは我輩の〓とて〓むる所なれども議會の多數に果して其覺悟あるや〓〓〓か〓を〓したりしに今回の上奏文を見るに〓〓日に〓〓にして民力〓に〓富なりとの〓あり即ち〓〓日からも〓に〓〓〓〓の實を認めたるものにして上奏の文中に〓く叙したるは少なくも衆院は實際に增税の負擔に餘裕あるを〓言したるに〓ならず我輩は衆院が〓〓を記憶して永く〓れさらんことを約束するものなり