「一圓兌換券の存廢」
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時事新報に掲載された「一圓兌換券の存廢」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
一圓兌換券の存廢は幣制改革の當初より世間に種種の議論ありたる所にして政府部内には近頃引換濟〓〓の處分の容易ならざるを見て其廢止を主張する者ありと云ふ元來銀貨の處分は幣制改革に伴ふ難件にして殊に我國の如く銀貨本位より一〓して純然たる金貨本位を實施せんとする塲合に於ては多少の困難は當然の事と云はざる可らず財政の現情より察すれば既に金貨本位實施の爲めに償金の一部を割て巨額の金貨金塊を買入れ新金貨鑄造の〓〓〓〓〓るが故に昨今に於ては最早や償金を〓〓〓て公債の募集にも應じ難き難局に陷りたるを以て金貨の代りに國庫に回收したる銀貨を補助貨に改鑄して軍備擴張其他の費途に充つるは政府の最も希望する所ならん當局者の計畫に據れば明年までに四千百五十萬圓の補助銀貨を増鑄する豫定なりと雖も補助貨欠乏の事實、〓白ならざるに斯く急激に増鑄せんには或は其價に下落を招かざるや否や甚だ疑はしき所にして我輩が屡屡當局者に注意したる次第なるが既に昨今東京市内に於ては補助貨過多の實を呈して〓〓上に非常の不便を來し今後は増發の餘地なしとの説なきに非ず政府は决して銀貨の處分に窮する事なしとは當局者が屡屡公言したる所なれども補助貨過多の事實にして今國を通じて同樣ならんには到底豫定通り處分を全うするを得ず當局者が最も苦心する所にして一圓兌換券の廢止を唱ふるも畢竟之に依て補助貨増發の餘地を開かんとするが爲めなる可し窮餘に出でたる小策にして〓に毒を喰はば皿までと云ふは此〓の事に外ならず元来一圓は我國に於ける計算の單位にして今日の實際に於て一圓兌換券が其輕便なるの故を以て一般の取引に最も廣く使用せらるるは云ふまでもなき事實なるに其流通を廢止して一圓の取引には〓て五十錢銀貨二個を以て充つることとせんには銀貨使用の區域は〓まる其代りに實際の不便に至ては日常之を授受する者の堪へ難き所なる可し即ち政府が殊更らに姑息の處分法を施さんとして社會全體に非常の損害を被らしむるものにして斷じて許す可きに非ず斯る〓策に出でんよりは寧ろ銀塊として市塲に賣却して右の危険を退くるこそ〓〓の處置と云ふ可けれ或は本位貨幣と兌換券とは〓〓〓伴ふ可きものにして既に一圓金貨の鑄造せられざる今日、一圓兌換券の流通するは不〓〓なりとの説もあらんなれども是は理論一方に偏して實際の便〓を〓〓ざるものと云はざる可らず今日計算の單位たる一圓金貨を〓〓する能はざるは政府が強ひて金貨本位を〓〓せんが爲めに〓金貨を半■(にすい+「咸」)し本位に充てたるが爲めにして假令ひ之なくとも一圓兌換券の流通に差支なきは甚だ〓〓なり即ち其所有者にして五〓に〓すれば〓〓に金貨と交換するを得べく實際〓外に〓〓する〓〓の〓〓〓〓〓〓〓を取付くる者が五圓未満の〓〓〓を以て〓〓を〓〓可しとは〓〓〓〓する能はざる〓〓〓〓れにしても〓〓一〓〓〓〓の流通を廢止するが如き〓〓〓の〓〓〓〓〓にして政府に於て強ひて〓〓〓〓〓〓〓らんには〓〓の〓〓の〓に〓〓して人〓の〓〓を〓〓〓〓〓〓〓〓〓かれざる可し事小なる〓如くなれ〓も〓〓〓〓〓〓〓より見て〓〓に〓する〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓を〓す〓〓〓〓