「朝鮮渡航を自由にす可し /增税の斷行に躊躇す可らず」

last updated: 2021-12-25

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時事新報に掲載された「朝鮮渡航を自由にす可し /增税の斷行に躊躇す可らず」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。

本文

朝鮮は元來富源に乏しからず海には魚介鮮を爲し山には鑛物多し田園の豊饒なるは耕作法の粗末なるにも拘はらず年々多額の米を輸出するの一事に徴しても明白なる可し左れば一旦文明國人をして〓富源を開かしめんか〓にして半嶋の面目を一新す可きは疑を容れざる所なれば速に今國を打開いて日本人を迎へしむること肝要なるに〓〓〓〓〓税關の有樣を見たれば人目は年々〓〓して〓まる〓〓〓らず外に向て〓〓〓〓〓〓なる〓〓を〓ずるものなれば我に〓る人民を彼に移すは一擧兩得の所置と云ふ可し左れば日韓の往來は成る可く之を便利にして勉めて我國民に渡行を促すこと本意なる可きに然るに日本政府の方針を察するに却て之を妨げんとするものゝ如く明治二十七年中當局者は渡韓規則なるものを發布して嚴に人民の朝鮮行を制限し其後議會が承諾せざる爲めに餘儀なく之を廢したれども二十九年に至り再び同樣の規則を〓したり其趣意は無限の渡韓を制して彼我の交際を全うせんとするに在りしことなれども人の心中は知るに由なし此人ならば大丈夫ならんとて政府の信用したる其人が却て意外なる大事件を引起して我對韓策を頓挫せしめたることもあれば又十〓の見る〓、亂暴を〓く可しとは言はれざる紳士の渡韓を差止めて世の嘲笑と爲りしこともあり左れば其規則は識者の非難を免れずして又も廢止せられたれども今回は渡韓の不便を免れざる其次第は規則の文面に從ては外國に行くもの必ず〓〓旅券を携へざる可らざるの義務なきが如くなれども汽船〓〓の際巡査が旅券の有無を取調べて所持せざる者は渡韓を許さゞるの例なり特に〓人に至ては殆んど禁止同樣にして例へば朝鮮在郷の商人などが國元より妻を呼寄するには〓々の證明を要し其手數は尋常一樣に非ず又〓〓〓より下女奉公の爲め京城仁川等は出掛けるもの少なからざれども是等は公〓〓〓を許されざるが故に漁舟に乗じて密航する〓〓〓は一方ならずと云ふ誠に無益有害の〓〓と云ふ可し元來旅券なるものは當人の便に供するものにして之を其筋に求むると否とは人々の勝手なり強ひて政府の問ふ可き所に非ざるのみか今や交通自在にして露西亞及び支那の内地に旅行するときの外、世界何れの地に於ても其必要を感ぜざるの時に〓〓徒に旅券を云々するが如き〓〓〓の〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓に〓〓〓〓〓〓ん〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓と見〓の〓〓〓〓〓〓る可〓〓〓〓〓〓〓〓〓に〓〓人〓〓〓は〓〓手に〓〓〓岸の各地に往來して其牛を輸入し嶋内には最早一頭の日本牛をも見ざるほどなりと云ふ此一事に徴しても日韓の關係は明白なれば渡韓者に旅券を携ふ可しと云ふは恰も隣家に使する者に辨當を用意す可しと云ふに異ならず只一笑に附す可きのみ左れば男子の渡韓を妨げざるは勿論女子の外國行も全く自由にして少しも拘束す可らず盖し當局者が婦女子の渡韓を妨ぐる其目的は職業婦に在ることならんと〓〓〓〓〓〓制せんが爲めに正當なる出稼人の運動を束縛するは其意を得ざるのみか元來職業婦を出せば國に何程の害あるか〓〓至る所賣淫婦〓〓〓るの塲なし巴里、倫敦、紐育等と同〓〓〓〓〓〓には必ず〓なる賣淫窟ありて〓〓の職業婦を賣〓〓と云ふ〓〓日本を〓〓可らず〓〓〓〓土〓開き〓は外國移住を促すには日本〓〓〓事物を其まゝ先方に移して〓〓小日本を作ること肝要にして料理店も開かしむ可し青楼をも設けしめざる可らず英人が殖民事〓に成功したるは主として此主義に依りしが爲めにして北海道を開くに〓〓〓必要な當局者の夙に認めたる所に非ずや今朝鮮は税人民の〓〓移住して開拓す可きの地なり農商業者の移住を促すと共に坊主も教師も下女も下男も將〓〓娼妓も一切自由に渡韓せしめて彼地に住む者をして恰も故郷に居ると同樣の感を爲さしめざる可らず移民に永住の心なければ國勢を擴張すること能はず大國民と爲るには大度量を〓す朝鮮渡韓の如き一切開放して少しも妨げざるは勿論、寧ろ進んで之を〓〓するの方針を取らんこと〓〓の當局者に勸告する所なり

增税の斷行に躊躇す可らず

政府は借金皆済後その一部を割て公債を買入れ銀行を始め一部の事業家に資金を融通する他の一方には勸業銀行債権の〓〓に應じて確實なる工業會社に低利の資金を供約するに決したりと云ふ果して斯る策を施して經濟社會目下の〓〓〓〓〓するを得るや否やは容易に測り難き所なれども差し當り如何にして財政整理の〓を〓むるの考なりや從來の計畫に據れば〓〓〓〓〓に其他の〓〓〓は〓〓の輸入〓〓〓の〓〓とに〓て〓〓し擴張後の事業を維持するに必要なる一般行政費の增加は新税の增收を以て之に應ぜしむるの豫定なりと云ふ此計畫にして故障なく實施せらるゝときは借金の如き一時皆済の爲めに利子を免除するも尚ほ七千四百萬餘圓の残餘を生じ財政上に〓〓を〓〓得れ〓〓今日までの實際を云へ〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓る如き〓〓〓〓〓〓〓〓はず多〓〓〓〓〓〓實施の成行を〓〓〓〓〓を除けば〓の〓入は孰れも當初の〓〓〓〓〓〓する〓〓〓〓〓三十一年度の餘算〓に據れば〓〓〓並に〓〓〓はをのをの百七十萬圓内外の減少を示し素煙草円専賣法の如き今後大に改良を加ふるに非ざれば到底豫定の增收を見る能はざるは明白の事實なり新税の收入にして斯し不足を生ずるに於ては假令ひ一方に增税の收入〓〓定額より多少增加の傾ありとするも財政上に破綻を生ずるは必然〓〓成行にして當局者は如何にして善後の處置を施させんとするや大に一般行政費を削減するの如き其一法にて相違なけれども元來〓張後の〓備並に新事業を維持するに常に行政費の增加を免かれ難きの數なるのみならず從來の如く〓〓の賞金を〓〓〓〓事業の進行を謀るに於ては内國の通貨は常に膨脹して物價騰貴の趨勢貿易に跡を收めざることならんなれば〓〓〓〓〓〓如きは到底企て及ぶ所に非ざ〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓にて國内に貿易の影響を招くと〓〓〓公〓を〓備して其國〓を謀〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓財政當局者〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓斯る意見を明言したる〓なれども今日の實際に就て見れば〓賃の〓〓〓〓に物価の騰貴を招きて金融を逼迫せし〓〓〓〓〓〓〓景氣〓〓餘裕なきを以て已むを得ず〓金を流用して餘定の〓金額に充つるが如き〓〓〓を見るに至れり當局者の豫〓が實際〓〓したる一例にして經濟社會が常識に〓して金融逼迫の論を認めざる以上は當初の計畫通り公債〓〓〓〓て好結果を收むる能はざるものと覺悟せざる可らず當局者は〓〓〓〓を編成するに當て歳計に四千六百萬圓を削減〓〓〓由なれども要するに公債の募集〓〓〓〓〓〓目下の困難を免かれんとするに外ならず實際を云へば毫も事業縮小の結果に〓〓して〓〓〓が〓〓を變更したるに過ぎざれば豫定の時期までに事業を完成せるには適當の〓〓を求めて必要に應ぜざる可らず事業當局者は軍〓擴張其他の事態を以て臨時のも〓〓〓〓て公債を以て財備に充てたることなれ〓〓〓なれども本來軍備の擴張は立國の目的を〓〓〓所以にして〓〓更らに擴張の必要を見る〓〓論、其他の諸事業も〓〓〓〓改良〓〓〓〓〓促す可きを以て其費用は經〓の性質なきに非ず隨て其財源は公債の如き臨時の收入に〓〓せずして寧ろ〓に確實のものを〓〓〓〓〓之にせるの適當なるを見る可し即ち增税〓必要なる所以にして之を瞻て他に財政整理整理の〓〓〓求可らず或は增税は世間の喜ばざる所にして政府が斷行に躊躇するも畢竟議會の反對を恐るゝが爲めならんなれども〓に財政〓〓の爲めに增税の必要は右の如くなりとすれば〓々たる反對は顧みるに及ばず早速今度の臨時議會に増税案を提出して其〓決を諮る可きのみ若しも議會の反對盛んにして通過の見込なきに於て〓〓之を〓〓し飽くまでも增税の一事を斷行して財政〓〓の實を擧ぐ可し我輩の〓〓〓〓する時なり