「增税案の提出」
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本文
增税案の提出
政府にして眞實財政整理の目的を達せんとならば單に繼續事業費の年度割を變更して公債
募集の爲めに生ずる目前の困難を除くに止まらず大に租税を增徴して歳入の增加を謀る可
しとは我輩が屡々論じたる所なるが當局者も遂に其必要を認め結局今度の臨時議會に增税
案の提出を見る可しと云ふ從來の財政計畫に據れば軍備擴張並に其他の新事業は償金の繰
入と公債の募集とに依て完成し擴張後の事業を維持するに必要なる一般行政費の增加は新
税の增収を以て之に應ぜしむるの豫定なれども今日までの實際を云へば右の計畫は當局者
が豫想したる如き好結果を収むる能はず先づ第一に新税實施の成行を見るに酒税を除けば
他の収入は孰れも當初の豫定額に達する見込なく現に三十一年度の豫算案に營業税並に登
録税はおのおの百七十萬圓内外の減少を示し葉煙草專賣の如き今後大に改良を加ふるに非
ざれば到底豫定の增収を見る能はざる可し新税の収入にして斯く違算を生ずるに於ては假
令ひ一方に酒税の収入が多少增加したりとするも財政上に破綻を免かれざるは必然の成行
にして或は新税収入の減少に應ずる丈け一般行政費に削減を加ふるを得んには一時を彌縫
し難きに非ざれども昨今の如き政府が償金回収の方法を誤まりて内國の通過を膨脹せしめ
たるが爲めに物價騰貴の餘勢容易に其跡を収めざる塲合には行政費は却て增加の傾こそあ
れ削減などは思ひも寄らざる所なりと云ふ眞に財政の基礎を鞏固にせんとならば啻に新税
収入の不足を補填するに止まらず行政費の增加に對して更らに新財源を求めざる可らざる
所以にして政府が今度の臨時議會に增税案を提出するに至りたるは畢竟斯る必要に促され
たるものに外ならず目下風説の如く增税の方法にして前内閣が第十一議會へ提出したるも
のと同樣ならんには二千五百萬圓内外の增収を得べければ之に依て從來の歳入不足を補ふ
他の一方には國〓の進歩するに從て是非共增加す可き經費を支辨して多少の餘裕を見るこ
とならん增税を外にして財政整理の道なき次第は甚だ明白にして世間に異論を見ざる所な
れば政府に於ても一見此邊の必要を認めて增税案の提出を决したる以上は飽くまでも其經
過を謀る可きは勿論、萬一議會の反對盛にして通貨の見込なき塲合には即座に之を解散〓
〓の〓〓こそ肝要なる可く又議會の方に於ても增税の一事は目下の急務にして自から他の
〓〓〓〓〓異なる〓〓〓〓〓〓し增税案の〓〓〓〓〓政府を〓〓〓などの手段に出で〓〓
〓〓〓〓協力して〓〓〓〓の實を収む可し我〓〓〓に勸告する所なり