「税源保護／奨励金の增加を制限す可からず」
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時事新報に掲載された「税源保護／奨励金の增加を制限す可からず」を文字に起こしたものです。画像はつぎのpdfに収録されています。
本文
我輩が酒税增加を主張するは單に財政上一時の必要に應ぜんとするが爲めに非ず本來の目的を云へば海陸の軍費の如き専ら此税源に依らんとするものにして其收入額は如何と云ふに四百萬石の〓〓高に一石二十圓の税を課するときに八千萬圓を得べし今後の海陸軍を維持するに差支なきを信ずれども現税率の七圓より一足に二十圓の增税は或は急激に失するの論もあらんなれば差當り十五圓と爲し六千萬圓を收むるの見込を以て斷行す可し實際に目的を達する甚だ容易なり或は〓〓家の中には今回の增税にも反對の運動を試みるものあるよしなれども〓と其内情を聞けば決して絶對に反對を唱ふるに非ず營業者に於ても增税は既に覺悟の前なれども〓方〓税源〓議の道を講ぜずして單に增税のみとありては何分にも〓するを得ず政府の當局者にして詳しく酒造業の利害を聞き取り充分保護の手段を施さば增税も甘んじて負擔す可しとて自から〓言する所なり左れば政府たるものは頓に營業者の事情を聞き其利害の在る所も悉くして一方に税を收むると同時に一方には大に保護の方法を講ぜざる可らず納税は人民の義務に外ならず苟も苦行を訴ふるとは不届千萬なりなど政府の威光を以て之に臨むが如きこともあらんには事は〓〓覺束なきのみか徴税の實際にますます困難を〓じて自から收入の目的を失ふに至らざるを得ず講じて取らざる所より著しく其方法にして宜しきを得ば八千萬圓の收入も決して難からず海陸軍の維持の如き専ら之に依賴して差支なしとするとき〓酒税は實際國中第一の財源にして最も重きを置く可き所のものなれば飽くまでも之を保護して其發達進歩を謀る可し古來〓〓にては農業を重んじて農は國の本なりなど唱へたれども今日の有樣にては國に海陸軍の本なりと云ふも差支ある可らず政府の官吏が單に机の上の調査を以て税法を工風したりとて所詮名案の出づ可きに非ず從來の實〓に對して其工風は遇ま遇ま以て納税者の〓〓を增すのみなれば机上の〓案をば一切止めにして親しく營業者に接して其説を聞く可し大に〓明して自から自家の迂闊を悟ることならん今回の改正案にて自家用酒を廢したるが如き〓や〓〓の一點に着目したるものなれども酒〓の取締法と云ひ納税期の改正と云ひ又收税吏の任用法と云ひ税〓〓〓者の精神を以て着手す可きの〓〓一にして足らず〓しく〓〓〓〓〓して〓〓の工風を〓す可き〓の〓〓又〓〓〓に於ても〓〓の〓〓〓〓して〓〓の止むを得ざるを認めたる上〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓思ひ止まり自から〓〓の〓〓と〓〓〓ものと覺悟を定め此方より進んで税源保護の方法を提出して政府と相談を〓げ政府にていよいよ聞入れざるに於ては其時こそ大に反對するの決心を以て實行を促して可なり本來收税の目的は實際に確實の收入を得るに在り我輩の酒税論は海陸軍の費用を此税源に〓んとして增率を〓〓するものなれども收税の方法宜しきを得ざるときは如何に税率を高むるも實際の收入は更らに增さゞるのみか其結果は徒に不正破廉恥の脱税者を利して正當の營業者を苦しむるに過ぎざるのみ是れぞ即ち國の税源を枯渇せしむるものにして容易ならざる次第なれば飽く迄も此點に注意〓〓〓〓方法を講じ政府に於ては取り易く、納税者に於ては出し易く、然かも收入の確實なる手段を取らざる可らず左れば酒税法の改正に〓ては政府は大に營業者の意見を取る可きは〓〓、或は一歩を進め官民共同の委員を設けて〓〓を〓〓せしむるか更らに一歩を進むには營業者をして専ら其事に當らしめ政府に於ては單に〓正〓〓勢を取るのみにても〓〓ある可らず我輩は酒税增加〓爲めに第一に税源保護の必要を望むものなり
奬勵金の增加を制限す可らず
從來政府が實業保護の目的を以て實施したる處置は一にして足らざれども〓〓に効を奏したるものは甚だ稀にして〓に生絲直輸出奬勵法の如き不都合を〓したるものさへあり然るに航海奬勵法のみは實施の効能、甚だ著しく其奬勵に應じて〓々外國の〓〓を開きたるもの少なからず日本の海運業の斯る勢を以て進化せんには歐洲米國豪洲印度等の航路は申すまでもなく日本船舶を以て〓外に〓行し眞に海國の〓を收むるは決して〓事と云ふ可らず政府が今後ますます奬勵に力を致さんを民間一般の希望する所なるに當局者は〓程議會に奬勵法の改正案を提出して大に奬勵費の增加を制限せんと試みたり外國航路の船舶に奬勵金を下付するに當て内國製造のものに厚くして内國の造船業を保護するの例は歐洲諸國が毎度實施する所にして〓〓〓少なからざる由なれども我國の如く造船業の幼稚なる塲合に斯る事例を適用して奬勵金の下付を内國製造の船舶にのみ限る〓きは實際に奬勵金を廢止したると同樣の結果なきを得ず外国航路の計畫を今日の規模に止まらしむれば兎も角も今盛大に擴張の必要ある際に改正案の如き制限を設くるは取りも直さず海運業の發達に非常の妨害を加ふるものにして結局奬勵法の精神を〓〓するに至る可し當局者に於ても〓に此邊の不都合を〓むることならん自から承知しながら却て〓〓〓〓の處置を施さんとするは〓〓財政上の〓〓に迫られたるが爲めなる可しと雖も目下の財政〓〓は政府が增税の斷行に躊躇するの結果にして若しも適當の税源に依賴して大に經營收入の增加を謀るときは航海奬勵費の支出に困難を〓ふるなどの掛念は〓〓ある可らず當局者の無用の心配を運らして殊更ら奬勵法に無理の制限を加へんとするは自家〓無力〓天下に表白するものに外なら ず政府の威信は〓く地に落ちて内外の笑を買ふに過ぎざる可し付下一般奬勵費として支出する金額は百六十萬圓内外にして從來外國〓汽船〓〓が占めたる航路を我に〓收する〓上に〓〓航路を開くの必要ありとすれば或は奬勵金〓〓〓〓國内〓〓上ることもあらんなれども〓〓〓〓〓〓〓〓にも足らざる金額を以て大に内國〓〓〓〓を發達せしむるを得るには其〓〓〓〓〓〓るに足らざるのみか外國製〓〓〓〓〓〓自から外國貿易〓〓〓〓〓て制限せらるゝ〓以て〓〓〓を〓て奬勵金を下付するも船舶〓數が制限なく特別〓〓〓など〓〓掛念は實際に〓〓〓〓〓〓兎に角〓〓奬勵金〓〓國〓〓〓〓〓〓〓〓增加すべき經費を負擔する〓〓〓〓國民の計する所に非ざれば營業者並に〓〓〓〓〓起き此〓〓〓〓〓政府をして〓〓〓〓制限を〓〓〓奬勵の增加を制するなど〓〓〓〓〓〓ま〓しむる〓〓論寧ろ〓〓を〓し〓〓費用支出の工風を案ず〓〓我輩の切に〓〓する所なり