大正版『福澤全集』「端書」

last updated: 2010-11-14

大正版『福澤全集』所収の「端書」を公開しています。 「端書」は、全集第1巻の「福澤先生筆蹟(独立自尊の題字と修身要領の一項)」と「福澤全集第一巻目次」の間にあります。

『福沢諭吉の真実』では、66頁と67頁に全文が掲載されています。 そこに掲載されているものと原文の主な相違点は以下の通りです。

  • 「福澤」を「福沢」と表記しています。
  • 原文では「鈔録」と表記されていますが、「抄録」と表記しています。
  • 原文では「新に」と表記されていますが、「新たに」と表記しています。

以上の点を踏まえ、原則として『福沢諭吉の真実』に掲載されている表記を採用します。 例外として、繰り返し点の不採用等の処理を行うことで読みやすくしました。

本文

一 福沢先生の著訳書を包羅せる既刊の『福沢全集』五巻は明治三十一年の出版に係り、其後の著書は勿論、それまで公にしなかったものは其中に載て居らぬ。 今回時事新報一万五千号の記念として先生の遺文を出版するに当り、是等未載のもの、並に先生の筆に成れる時事新報社説の抄録とを既刊の全集に加えて都合十巻となし、矢張り『福沢全集』の名を以て刊行することにした。

一 本全集所載の内容を挙れば、第一巻より第六巻の『実業論』に至るまでは既刊全集の分に属し、第六巻の『丁丑公論』以下第十巻に至るまでが、今回新に加えたものである。尚お慶応義塾編纂の『修業立志論』に載て居る文章は、本集『時事論集』中の各篇に分載せるを以て、別に一冊として収録せず。

一 先生の遺文は此他にも甚だ多く、時事新報所載の分のみにても尚お数巻を成すに足るものがある。是等は更に編纂して出版することになって居る。

大正十四年十二月

編纂者 識