大正版『福澤全集』「時事論集例言」

last updated: 2010-11-14

大正版『福澤全集』所収の「時事論集例言」を公開しています。 「時事論集例言」は、全集第8巻の「先生書簡の一部 書中ドクトルとあるはドクトル シモンズの事なり」と「福澤全集第八巻目次」の間にあります。

『福沢諭吉の真実』では、68頁と69頁に全文が掲載されています。 そこに掲載されているものと原文の主な相違点は以下の通りです。

  • 「福澤」を「福沢」と表記しています。
  • 原文の「時事論集例言」には句読点がほとんどありません(原文では「論説の末尾…」にのみ句点があります)が、『福沢諭吉の真実』の方では句読点が追加されています。
  • 原文では「紀年」と表記されていますが、「記念」と表記しています。
  • 原文では「附録」と表記されていますが、「付録」と表記しています。

以上の点を踏まえ、原則として『福沢諭吉の真実』に掲載されている表記を採用します。 例外として、繰り返し点の不採用等の処理を行うことで読みやすくしました。

本文

一 福沢先生が時事新報創刊以来その紙上に執筆せられたる論説は約五千篇あるべし。編者かつて社説起草の参考に供するめ其主要なるものを抄写して之を坐右に置けり。今回時事新報社が一万五千号の記念として福沢全集を発刊するに際し、之を「時事論集」と名けて其中に収録することとせり。

一 本集の論説は政治外交軍事経済等十三篇に分類したれども、其分類は編者が索覧の便のめにせしものにて、必ずしも厳密なる意味を以てしたるに非ず。例えば外国に関係ある論説はすべて之を外交篇の中に収め、日清戦争中に於ける各種の論説は之を軍事篇の中に収めたるの類にして、他の篇別もおよそ此趣向に依れり。

一 論説の末尾括弧内の年月日は其論説が時事新報の紙上に出でたる時日を示すものなり。

一 本集に収むる所の論説は二百二十三篇にして、外に漫言九十八篇を附録とせり。全集発刊の事急に決したるを以て、差向き編者の曾て抄写し置けるものを其儘そのまま収録したる次第なり。

大正十五年五月

石河幹明 記