『帝国議会 第91回 昭和21年12月05日』

last updated: 2010-11-14

情報

昭和21年12月05日に、貴族院の参議院議員選挙法案特別委員会で行われた答弁のテキストです。

データは帝国議会会議録検索システムにて公開されているものを使用しました。 なお、新字体や現代仮名遣いへの変更、読みやすいように改行を増やす等公開されているテキストに手を加えました。 会議録の原文も誤っていると思われる箇所については、加除訂正をしました。 該当箇所については明記していません。

本文

全国一選挙区と云うことは色々私も考えて見たのであります、

実は是が起りました因でありますが、憲法を審議せられる其の際に当りまして参議院のことが問題になりまして、参議院議員の候補者を衆議院若しくは貴族院に於て決めると云うような議論が現れて居ります、

初めの時には参議院議員の定数は三百名と云う工合になって居りましたから、それに倍の六百名の候補者を衆議院に於て決めて、それに向って全国の有権者が投票すると云うような議が起ったように拝聴して居ります、現に全国一選挙区と云うことは、此の推薦候補と云うことが因になって現れて来たように私は考えて居ります、

処が其の推薦選挙と云うことは、憲法の条文に照しましても、亦実際のことを考えましても、なかなか行われない、斯う私は考えまして、推薦選挙と云うことに付ては反対をして居ったのであります、

是が因となって現れた全国一選挙区でございますが、其の因の推薦選挙と云うことがなくなりました以上は、自然全国一選挙区と云うことも立消えになるのじゃないか、斯う私は考えて居りました所が、なかなか実際はそうじゃない、法制調査会に於きましてもそう云うことが因になったのではないかと思いますが、段々と此の関係が深くなりまして、到頭全国一選挙区と云うことに決められたのであります、

私は法制調査会の委員でございませぬが、最後の委員会に出席致しまして私個人の意見を述べて置きました、全国一選挙区と云うことに付ては選挙の実際に徴してなかなかむずかしいから、自分は之に付ては反対すると云う意見を述べましたけれども、併し是は私一個の意見でございまして、多数の意見に依ってそう決められた以上は、それに服従をしなければならぬと云うことは是は当り前でありますから、色々内務当局とも相談致しました所が、随分むずかしいことではあるけれども、不可能のことではない、やれば出来ると言ふのでありますから、政府の提案として現れました以上は、私は閣僚の一人と致しまして此の案を支持する外に途がないのでありますから、其の点は悪しからず御了承を願って置きます、

決りました以上は成るべく是が全国一選挙区の趣旨に基いて、大過なく、円満に施行せられむことを期待して居ります、之を以て御答と致します