『歴史の嘘を見破る』について

last updated: 2015-03-12

中嶋嶺雄編『歴史の嘘を見破る――日中近現代史の争点 35 ―』(文春新書、2006 年)に掲載され、現在では当ウェブサイトで全文を読むことができる論説である、平山洋「中国に「福沢諭吉は『アジア侵略論』者だ」と言われたら」についての、メモ書きです。

部分的なメモですので、詳しくは、該当箇所の文章をご覧下さい。

34 頁

中国人研究者の福沢諭吉批判が、パターン化されていることを指摘しています。

なお、平山氏が取り上げている『中文導報』の記事を、インターネット上で見ることができるようです。 (ちなみに、当ウェブサイトの管理人は、中国語を理解できませんので、機械訳ですが、英訳のページを読みました。) 以前は、平山氏が取り上げている『中文導報』の記事をインターネット上で見ることができました。ですが、今は閲覧できなくなったようです。

36 頁

福沢の「侵略主義の証拠」として挙げられる論説を検討した平山氏は、アジア侵略者、アジア蔑視者という福沢像には、根拠がないと、主張しています。

また、平山氏は、中国人研究者が福沢批判に用いる論説が、決まったものばかりであることを指摘しています。 その例として、いくつか列挙していますが、そのうちの 3 つの論説は、当ウェブサイトに掲載しています。

37 頁

2004 年 08 月に中国語版が出た安川寿之輔『福沢諭吉のアジア認識』(2000 年、高文研)の「資料篇」を紹介しています。 その「資料篇」とは、1964 年まで出版された『福沢諭吉全集』に掲載されている諸論説のうち、侵略主義やアジア蔑視と見なしうる表現を抜き出したものです。

日清戦争後に出版された、福沢諭吉の署名著作である『福翁自伝』『修業立志編』などからは、侵略主義の要素を見いだすことは出来ない、としています。 このことについては、なぜ『修業立志編』は『福澤全集』に収録されていないのか?を参照してください。

39 頁

平山氏は、多数の日清戦争関連論説の存在からは、満州事変後の時局に合った論説を、石河が『続福沢全集』に収めた、ということが分かるだけであると指摘しています。 そして、それらの論説が、現行版の全集にも掲載されている、そういう経緯を指摘しています。 之に関しては、古井戸氏と平山氏の質疑応答からを参照してください。