さまざまな文字やキー、組み込み変数を出力します。
DvorakJ では、記述した文字や記号を原則としてそのまま出力します。 たとえば、あと設定ファイル内に書くと、かな入力以外であれば、aを発行します。かな入力であれば、あを出力するキーストローク、すなわち 3を発行します。
ただ、文字や記号を直接出力できないことがあります。 Unicode 文字として出力するよう設定すれば、それらも直接出力できるようになります。 次節で、Unicode 文字として出力する方法を説明します。
* 分類 | * 記述例 | * 補足情報 |
数字(半角数字) | 1 | 原則としてそのまま出力します。 ただし、日本語入力のときには、IME 側の処理によって、全角数字が出力されるかもしれません。 そのときは、テンキー上の数字キーを入力するよう設定する必要があります。 |
数字(全角数字) | 1 | 原則として直接出力できません。 対応する半角数字に変換して出力するからです。 全角数字そのものを出力するには、Unicode 文字として直接出力します。 |
英字(半角英字) | a | 大文字と小文字を区別しません。 |
英字(全角英字) | a | Unicode 文字として出力します。 大文字と小文字を区別します。 |
ひらがな | あ | 該当するキーストロークに変換して出力するため、Unicode 文字として出力しません。 |
カタカナ | ア | 対応するひらがなに変換して出力するため、直接出力できません。 カタカナそのものを直接出力するには、Unicode 文字として出力してください。 |
漢字 | 漢字 | Unicode 文字として出力します。 |
半角記号 4 種類 | + ^ ! # | これらの文字はそのまま出力できません。 以下で説明するように、Shift-文字 や Alt-文字 といった修飾キー付きのキーを設定するときに使用するからです。 これらの文字を出力するには、{+} のように、半角波括弧で前後をくくります。 |
半角記号 2 種類 | { } | 波括弧そのものはそのまま出力できません。 波括弧そのものを出力するには、{{} のように、半角波括弧で前後をくくります。 |
その他記号 | = | Unicode 文字として出力しなくてもよい記号は、該当するキーストロークに変換して出力します。 それ以外の記号は、Unicode 文字として出力します。 |
文字の設定例を掲載します。
/* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0| お|さ|こ|へ|。|、|る|す|つ|り|っ| て|た|か|う|く|き|し|い|ん|と| ら|せ|ま|ひ|。|、|っ|そ|や|れ| ]
カタカナや全角数字を出力するには、Unicode 文字として出力するよう設定します。 {U+XXXX}のように記述すれば、該当する文字や記号を Unicode 文字として出力します。 XXXX には、UTF-16 での該当する文字コードを記入します。
例として、カタカナのアを直接出力してみます。 まず、Unicode対応 文字コード表でカタカナのアの情報を探します。 すると、UTF-16 での該当する文字コードが U+30A2 だとわかります。 これより、カタカナのアを直接出力するには {U+30A2} と記述することになります。
Unicode 文字を直接出力できない IME を使用しているならば、これらの文字を出力できません。 Google 日本語入力 がその例です。 ATOK でも環境によっては Unicode 文字を直接出力できないようです。 ただ、どのような環境ならば ATOK で Unicode 文字を出力できないかは、いまのところ不明です。
以下の表中の「具体的なキー」を発行するには、「記述内容 」の項目を波括弧でくくります。 「具体的なキー」に対応する「記述内容」が複数個あるものについては、どの「記述内容」を選択してもかまいません。 参考に、文字とキーの設定例を掲載します。
[ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|^v |{ESC}|{削除}| お|さ|こ|へ|。|、|る|す|つ|り|っ |^c | て|た|か|う|く|き|し|い|ん|と|{改行}|^x | ら|せ|ま|ひ|。|、|っ|そ|や|れ|、 | ]
キー名の後に半角空白を入力して数字を記述すれば、キーを複数回発行します。 たとえば、{改行␣5} と記述すれば、改行を 5 回繰り返します。 キーを繰り返す回数には上限を設けていません。
キー名の後に半角空白を入力して Up や Down と記述すれば、キーを押し上げたり押し下げます。 {<-␣Up} と記述すれば、<-を押し上げ、 他方、{<-␣Down} と記述すれば、<-を押し下げたままにします。 ただ、このように押し下げると、キー・リピートの発生直前で処理が停止するため、キー・リピートが発生しません。
* 分類 | * 具体的なキー | * 記述内容 | * 補足情報 |
頻繁に使用しそうなキー | Space | Space スペース 空白 | |
頻繁に使用しそうなキー | Tab | Tab タブ | |
頻繁に使用しそうなキー | Enter | Enter 改行 | |
頻繁に使用しそうなキー | Esc | Esc Escape 取消 | |
削除関連 | Back Space | BackSpace BS 後退 | |
削除関連 | Delete | Delete Del 削除 | |
小さなカーソル移動 | <- | Left ← <- 左 | テンキーのカーソル移動とは区別される |
小さなカーソル移動 | -> | Right → -> 右 | テンキーのカーソル移動とは区別される |
小さなカーソル移動 | ↑ | Up ↑ 上 | テンキーのカーソル移動とは区別される |
小さなカーソル移動 | ↓ | Down ↓ 下 | テンキーのカーソル移動とは区別される |
大きなカーソル移動 | Home | Home | テンキーのカーソル移動とは区別される |
大きなカーソル移動 | End | End | テンキーのカーソル移動とは区別される |
大きなカーソル移動 | Page Up | PgUp | テンキーのカーソル移動とは区別される |
大きなカーソル移動 | Page Down | PgDn | テンキーのカーソル移動とは区別される |
IME 関連 | 全角/半角 | vkF3sc029 vkF4sc029 全角 | |
IME 関連 | 変換 | vk1Csc079 変換 | |
IME 関連 | 無変換 | vk1Dsc07B 無変換 | |
IME 関連 | ひらがな/カタカナ | vkF2sc070 ひらかな ひらがな | |
単独で押し下げる修飾キー | Ctrl | Ctrl | 左右を区別しない |
単独で押し下げる修飾キー | 左 Ctrl | LCtrl | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | 右 Ctrl | RCtrl | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | Alt | Alt | 左右を区別しない |
単独で押し下げる修飾キー | 左 Alt | LAlt | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | 右 Alt | RAlt | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | Shift | Shift | 左右を区別しない |
単独で押し下げる修飾キー | 左 Shift | LShift | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | 右 Shift | RShift | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | 左 Win | LWin | 左右を区別する |
単独で押し下げる修飾キー | 右 Win | RWin | 左右を区別する |
ファンクションキー | F1 | F1 | F の直後に数字を記述します。 |
Lock 関連 | Caps Lock | CapsLock | 日本語キーボードにはこのキーが存在しません。 日本語キーボードにある Caps Lock というキーは vkF0sc03A です。 Caps Lock の状態を変更するにはつぎのように記述します。 {CapsLock on} {CapsLock off} {CapsLock toggle} |
Lock 関連 | Scroll Lock | ScrollLock | |
Lock 関連 | Num Lock | NumLock | |
その他キー | Insert | Insert Ins | |
その他キー | Application Key | AppsKey | |
その他キー | Print Screen | PrintScreen | |
その他キー | Break | Break | |
その他キー | Sleep | Sleep | |
その他キー | Help | Help |
* 分類 | * 具体的なキー | * 記述内容 | * 補足情報 |
テンキー | テンキー上の 数字 まで | Numpad0 | Numpad の直後に数字を記述します。 |
テンキー | テンキー上の . | NumpadDot | |
テンキー | テンキー上の / | NumpadDiv | |
テンキー | テンキー上の * | NumpadMult | |
テンキー | テンキー上の + | NumpadAdd | |
テンキー | テンキー上の - | NumpadSub | |
テンキー | テンキー上の Enter | NumpadEnter | |
テンキー | テンキー上の Delete | NumpadDel | |
テンキー | テンキー上の Insert | NumpadIns | |
テンキー | テンキー上の <- | NumpadLeft | |
テンキー | テンキー上の -> | NumpadRight | |
テンキー | テンキー上の ↑ | NumpadUp | |
テンキー | テンキー上の ↓ | NumpadDown | |
テンキー | テンキー上の Home | NumpadHome | |
テンキー | テンキー上の End | NumpadEnd | |
テンキー | テンキー上の Page Up | NumpadUp | |
テンキー | テンキー上の Page Down | NumpadDown | |
テンキー | テンキー上の Clear | NumpadClear | Num Lock が無効となっているときのみ。 テンキー上の Clear (テンキー上の 5 の位置) |
音量の操作 | ミュート状態にする | Volume_Mute | |
音量の操作 | 音量を下げる | Volume_Down | |
音量の操作 | 音量を上げる | Volume_Up | |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「戻る」 | Browser_Back | キーボードによっては A-<- を発行する |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「進む」 | Browser_Forward | キーボードによっては A--> を発行する |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「中止」 | Browser_Stop | |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「更新」 | Browser_Refresh | |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「検索」 | Browser_Search | |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「お気に入り」 | Browser_Favorites | |
ブラウザ関連 | ブラウザ上の「ホーム」 | Browser_Home | |
メディア関連 | 次曲を再生 | Media_Next | |
メディア関連 | 前曲を再生 | Media_Prev | |
メディア関連 | 再生を停止 | Media_Stop | |
メディア関連 | 再生を一時停止 | Media_Play_Pause | |
ソフトウェアの起動 | 電子メールのソフトウェア | Launch_Mail | |
ソフトウェアの起動 | メディアプレイヤー | Launch_Media | |
ソフトウェアの起動 | 第 1 アプリケーション | Launch_App1 | |
ソフトウェアの起動 | 第 2 アプリケーション | Launch_App2 |
日本語キーボードにのみ存在するキーや、その他上記一覧にないキーを出力します。仮想キーコードやスキャンコードを調べるには、(AutoHotkey)(仮想キーコード(vk) と スキャンコード(sc) を調べたい 編) - もらかなです。参照。
* 処理名 | * 記述内容 |
仮想キーコード | vkXX |
スキャンコード | scYYY |
仮想コードとスキャンコード | vkXXscYYY |
* 分類 | * 処理名 | * 記述内容 | * 補足情報 |
修飾キー一般 | Shift-文字 | +a | Shift-a を発行する |
修飾キー一般 | C-文字 | ^a | Ctrl-a を 発行する |
修飾キー一般 | A-文字 | !a | Alt-a を発行する |
修飾キー一般 | Win-文字 | #a | Win-a を発行する |
編集用 | コピー | ^c コピー | Ctrl-c を発行する |
編集用 | カット | ^x 切り取り 切取 | Ctrl-x を発行する |
編集用 | ペースト | ^v ペースト 貼り付け 貼付 | Ctrl-v を発行する |
あまり使わないかもしれない動作 | C-Break | CtrlBreak |
* 分類 | * 処理名 | * 記述内容 | * 補足情報 |
ボタンを押し下げる | 左ボタン | LButton | |
ボタンを押し下げる | 右ボタン | RButton | |
ボタンを押し下げる | 中ボタン | MButton | ホイールクリックのこと |
ボタンを押し下げる | 第 1 拡張ボタン | XButton1 | 「戻る」 |
ボタンを押し下げる | 第 2 拡張ボタン | XButton2 | 「進む」 |
ホイールを操作 | 左ボタン | LButton | |
ホイールを操作 | ホイールを上に回転させる | WheelUp | |
ホイールを操作 | ホイールを下に回転させる | WheelDown | |
ホイールを操作 | チルトを左に倒す | WheelLeft | |
ホイールを操作 | チルトを右に倒す | WheelRight |
以下の組み込み変数については、出力時の状況に応じて、ユーザーの環境に適した結果を出力します。 上記のキーの設定と同様、以下の表中の「具体的な変数」を出力するには、「記述内容」の項目を波括弧でくくります。 「具体的な変数」に対応する「記述内容」が複数個あるものについては、どの「記述内容」を選択してもかまいません。
漢数字の出力に対応しているものについては、組み込み変数の末尾に _JP を加えることで、日本語表記用に出力します。 数字については漢数字に変換して出力し、曜日は、アルファベットではなく漢字で出力します。 また、曜日については JP_kana と記述することで、かな文字を出力します。
以下の表の説明はAutoHotkeyJp 組み込み変数を参考にしています。
* 分類 | * 記述内容 | * 漢数字の出力に対応 | * 説明 |
年 | A_YYYY A_Year | ○ | 現在日時の年を表す4桁の数字(...2004...) |
月 | A_MM A_Mon | ○ | 月を表す2桁の数字(01---12) |
月 | A_MMMM | ○ | 月の名称(...July...) |
月 | A_MMM | ○ | 月を表す3文字の省略名(...Jul...) |
日 | A_DD A_MDay | ○ | 日を表す2桁の数字(01---31) |
曜日 | A_DDDD | ○ | 曜日を表す文字列(Sunday...) |
曜日 | A_DDD | ○ | 曜日を表す3文字の省略名(Sun...) |
曜日 | A_WDay | 曜日を表す1文字の数字(1---7) 1が日曜 | |
時 | A_Hour | ○ | 時を表す2桁の数字(00---23) |
時 | A_Hour_12 | ○ | 時を12時間制で表す2桁の数字(0---11) |
分 | A_Min | ○ | 分を表す2桁の数字(00---59) |
秒 | A_Sec | ○ | 秒を表す2桁の数字(00---59) |
ミリ秒 | A_MSec | ○ | ミリ秒を表す3桁の数字(000---999)。 |
通算 | A_YDay | 1月1日からの日数を表す1---3桁の数(1---366) | |
通算 | A_YWeek | 西暦年と週番号をつなげたISO8601形式の文字列(...200453...) 1月1日を含む週が4日以上ある場合、その週が第1週に、そうでない場合は次の週が第1週になる。 | |
通算 | A_Now | 現在時刻をYYYYMMDDHH24MISSの書式で表したもの | |
通算 | A_NowUTC | UTC時刻をYYYYMMDDHH24MISSの書式で表したもの | |
通算 | A_TickCount | OSが起動してからの経過時間(ミリ秒) |
DvorakJ を再起動するには、{reload}と記述します。
{run "notepad" "C:\test.txt"} のように、 {run } 内にプログラム名と引数を順に記します。この設定によって、notepad (notepad.exe) で "C:\test.txt" を開きます。
{run "http://www.google.co.jp/"} のように、 {run ""} の引用符内に URL を記します。
同一の文字やキーを複数回繰り返して出力するには、< >内を半角空白一つで区切り、前半に繰り返す文字やキーを、後半に繰り返す回数を記述します。 <あい␣3>ではあいあいあいを出力し、<+{Back Space}␣2>では、+{Back Space}+{Back Space}を発行します。
設定ファイル中に-option-output[]で括って設定を記述すると、それ以後で使用する文字やキーの別名を設定します。 |の前には置換される文字列を、|の後には変換する文字列を記述します。 文字列の前後にある半角空白については読み込みません。 {{} という記号の別名として @open-brace@ を設定するには、以下のように記述します。
-option-output[ @open-brace@ | {{} ]
この別名の割り当て処理を複数行うこともできます。
上記の設定にくわえ、@close-brace@ を {}} に置き換え、さらに @braces@ で {{}{}} を出力するようにしてみます。
-option-output[ @open-brace@ | {{} @close-brace@ | {{} @braces@ | @open-brace@@close-brace@ ]
別名を割り当てれば、 /* */をそのまま出力することができます。 DvorakJ は設定ファイル中に /* */ で囲まれている箇所は読み込みませんので、設定ファイル中に /* と */ を直接記述しなければよいのです。 たとえば、* の別名として @star@、/* の別名として @slash-star@ 、*/ の別名として @star-slash@ をそれぞれ割り当てるならば、つぎのように記述することになります。
-option-output[ @star@ | * @slash-star@ | /@star@ @star-slash@ | @star@/ ]
そのうえで設定ファイルに @slash-star@ @star-slash@ と記述すれば /* */ を出力します。
上記の文字やキーの設定は、AutoHotkey の機能を独自に拡張したものです。 AutoHotkey の機能に関しては、以下のページを参照してください。