順に打鍵する配列、同時に打鍵する配列、順にも同時にも打鍵する配列について、設定ファイルをそれぞれ作成します。 必要に応じ、DvorakJ:レファレンスマニュアルを参照してください。以下のページが特に参考になるでしょう。
キーを順番に押す、「月配列(2-263式)」と呼ばれるキー配列があります。 通常のローマ字入力用の設定を改変し、最終的に「月配列(2-263式)」用の設定にしてみましょう。
通常のローマ字入力用の設定は、以下のとおりです。 一行目に「順」という文字を記入することで、キーを順に打鍵するよう設定します。 /* */ で括っている部分は、設定として読み込みません。
順に打鍵する配列 /* 通常のローマ字入力用の設定 */ /* 文字キーを単独で入力 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|-|{^}|\| q|w|e|r|t|y|u|i|o|p|@|[ | a|s|d|f|g|h|j|k|l|;|:|] | z|x|c|v|b|n|m|,|.|/|\| ]
それでは、月配列(2-263式)のうち、一打目で文字を出力するものを設定します。 「月」 --- 中指シフト新JIS配列に記載されている仕様をもとに、以下のような表を作成します。
順に打鍵する配列 /* * 月配列(2-263式) * http://jisx6004.client.jp/tsuki.html */ /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0| | そ|こ|し|て|ょ|つ|ん|い|の|り|ち| は|か| |と|た|く|う| |゛|き|れ| す|け|に|な|さ|っ|る|、|。|゜|・| ]
つづけて、二打で文字を出力するものを設定します。 それぞれの表の冒頭部分に、一打目のキーの情報を記します。 キーの情報とは、原則として、スキャンコードの英数字二文字です。 スキャンコードを調べるには、メニューの「ツール」から「文字キーの情報を取得する」を選択してください。 月配列では D と K を一打目に使用しますので、それぞれ -20 と -25 と設定の表の冒頭に書きます。
順に打鍵する配列 /* * 月配列(2-263式) * http://jisx6004.client.jp/tsuki.html */ /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0| | そ|こ|し|て|ょ|つ|ん|い|の|り|ち| は|か| |と|た|く|う| |゛|き|れ| す|け|に|な|さ|っ|る|、|。|゜|・| ] -20[ | | | | | | | | | | | ぁ|ひ|ほ|ふ|め|ぬ|え|み|や|ぇ|「| ぃ|を|ら|あ|よ|ま|お|も|わ|ゆ|」| ぅ|へ|せ|ゅ|ゃ|む|ろ|ね|ー|ぉ| | ] -25[ | | | | | | | | | | | ぁ|ひ|ほ|ふ|め|ぬ|え|み|や|ぇ|「| ぃ|を|ら|あ|よ|ま|お|も|わ|ゆ|」| ぅ|へ|せ|ゅ|ゃ|む|ろ|ね|ー|ぉ| | ]
以上で月配列(2-263式)の設定は終わりましたが、設定内容を多少見やすくします。 [d] を -20 として、[k] を -25 として使用してみましょう。-option-input[]という設定を用いると、-option-input[] の各行で、 | の前の文字列を後の情報の別名として設定します。
順に打鍵する配列 /* * 月配列(2-263式) * http://jisx6004.client.jp/tsuki.html */ -option-input[ [d] | -20 [k] | -25 ] /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0| | そ|こ|し|て|ょ|つ|ん|い|の|り|ち| は|か| |と|た|く|う| |゛|き|れ| す|け|に|な|さ|っ|る|、|。|゜|・| ] [d][ | | | | | | | | | | | ぁ|ひ|ほ|ふ|め|ぬ|え|み|や|ぇ|「| ぃ|を|ら|あ|よ|ま|お|も|わ|ゆ|」| ぅ|へ|せ|ゅ|ゃ|む|ろ|ね|ー|ぉ| | ] [k][ | | | | | | | | | | | ぁ|ひ|ほ|ふ|め|ぬ|え|み|や|ぇ|「| ぃ|を|ら|あ|よ|ま|お|も|わ|ゆ|」| ぅ|へ|せ|ゅ|ゃ|む|ろ|ね|ー|ぉ| | ]
[d]と[k]の設定は同一ですので、, を用いて一元化してみます。
順に打鍵する配列 /* * 月配列(2-263式) * http://jisx6004.client.jp/tsuki.html */ -option-input[ [d] | -20 [k] | -25 ] /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0| | そ|こ|し|て|ょ|つ|ん|い|の|り|ち| は|か| |と|た|く|う| |゛|き|れ| す|け|に|な|さ|っ|る|、|。|゜|・| ] [d],[k][ | | | | | | | | | | | ぁ|ひ|ほ|ふ|め|ぬ|え|み|や|ぇ|「| ぃ|を|ら|あ|よ|ま|お|も|わ|ゆ|」| ぅ|へ|せ|ゅ|ゃ|む|ろ|ね|ー|ぉ| | ]
-option-input[] の設定中で ,を使用して、複数の設定に別名をつけることもできます。
順に打鍵する配列 /* * 月配列(2-263式) * http://jisx6004.client.jp/tsuki.html */ -option-input[ [d]と[k] | -20, -25 ] /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0| | そ|こ|し|て|ょ|つ|ん|い|の|り|ち| は|か| |と|た|く|う| |゛|き|れ| す|け|に|な|さ|っ|る|、|。|゜|・| ] [d]と[k][ | | | | | | | | | | | ぁ|ひ|ほ|ふ|め|ぬ|え|み|や|ぇ|「| ぃ|を|ら|あ|よ|ま|お|も|わ|ゆ|」| ぅ|へ|せ|ゅ|ゃ|む|ろ|ね|ー|ぉ| | ]
つぎは、キーを同時に打鍵するキー配列のうち、「新下駄配列」を取り上げます。 これは文字キーと文字キーを同時に打鍵して、文字やキーを出力するキー配列です。 上記の順に打鍵する配列の解説のように、通常のローマ字入力用の設定を改変し、最終的に「新下駄配列」用の設定にしてみましょう。
一行目に「同時」という文字を記入することで、キーを同時に打鍵するよう設定します。
同時に打鍵する配列 /* 通常のローマ字入力用の設定 */ /* 文字キーを単独で入力 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|-|{^}|\| q|w|e|r|t|y|u|i|o|p|@|[ | a|s|d|f|g|h|j|k|l|;|:|] | z|x|c|v|b|n|m|,|.|/|\| ]
まずは、キーを単独で入力する場合を設定します。 {BS} というのは、Back Space のことです。 {Enter} と書けば、Enter を出力します。
同時に打鍵する配列 /* * 新下駄配列 * http://kouy.exblog.jp/13627994/ */ /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|ー|^|¥| ー|に|は|、|ち|ぐ|ば|こ|が|ひ|げ|「| の|と|か|ん|っ|く|う|い|し|な|{BS}|」| す|ま|き|る|つ|て|た|で|。|ぶ|¥| ]
ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく : 新下駄配列を作りましたに記されている通り、「中指シフト」と「薬指シフト」、拗音や記号の設定を盛り込みんでみます。 それぞれの設定表の冒頭に、キーのスキャンコードを -25 や -26 のように書きます。 そうすることで、該当するキーと表内の各キーを同時に打鍵したときの挙動を設定します。 ただし、ここでは、-option-input[] を使用して、設定内容を見やすくします。
同時に打鍵する配列 /* * 新下駄配列 * http://kouy.exblog.jp/13627994/ */ -option-input[ [r] | -13 [u] | -16 [i] | -17 [o] | -18 [s] | -1E [d] | -20 [f] | -21 [j] | -24 [k] | -25 [l] | -26 ] /* 【主要部】*/ /* 単打 */ [ 1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|ー |^|¥| ー|に|は|、|ち|ぐ|ば|こ|が|ひ|げ |「| の|と|か|ん|っ|く|う|い|し|な|{BS}|」| す|ま|き|る|つ|て|た|で|。|ぶ|¥ | ] /* 中指シフト */ [d][ | | | | | |,|「|」|; |@ | | | | | |うぃ|ぱ|よ|み|うぇ|うぉ| | | | | |へ |あ| | |え | | | | | | |せ |ね|べ|ぷ|ヴ | | ] [k][ ぁ |ぃ|ぅ|ぇ |ぉ | ふぁ|ご|ふ|ふぃ|ふぇ| ほ |じ|れ|も |ゆ | づ |ぞ|ぼ|む |ふぉ| ] /* 薬指シフト */ [s][ | | | | | |.|(|)|: |*| | | | | |しぇ|ぺ|ど|や|じぇ| | | | | |び |ら| | |そ | | | | | |わ |だ|ぴ|ぽ|ちぇ| ] [l][ ゃ|みゃ|みゅ|みょ|ゎ | ぢ|め |け |てぃ|でぃ| を|さ |お |り |ず | ぜ|ざ |ぎ |ろ |ぬ | ] /* 【拗音】*/ [i][ ゅ |びゃ|びゅ|びょ| | ひゅ|しゅ|しょ|きゅ|ちゅ| ひょ| | |きょ|ちょ| ひゃ| |しゃ|きゃ|ちゃ| ] [o][ ょ |ぴゃ|ぴゅ|ぴょ| | りゅ|じゅ|じょ|ぎゅ|にゅ| りょ| | |ぎょ|にょ| りゃ| |じゃ|ぎゃ|にゃ| ] /* 【同手同時押し】 */ [r][ | | |・|・| ] [f][ | | | |「」{Enter}{←}| | | |!|! | ] [u][ | | | | |/| | | | | ] [j][ | | | | |(){Enter}{←}| | | | | | | | | |? | | | | | ]
この設定のうち、 「」{Enter}{←} と (){Enter}{←} について補足しておきます。 「」 と ()は、それぞれ、開き括弧と閉じ括弧を連続して出力するということです。 {Enter} が意味しているのは、Enter を、{←} の方は左カーソルキー ← を打鍵することです。 これらの挙動をまとめると、つぎのようになります。 すなわち、括弧類を閉じ括弧まで出力し、Enter を打鍵して確定させてから、左カーソルキーを一回打鍵する、つまり括弧の間にカーソルを移動させます。
最後に説明するのは、順にも同時にも打鍵するキー配列を作成する方法です。
設定ファイルの一行目には、「順」ということばを記述することになります。 「同時」を記述する必要はありませんが、挙動を確認しやすくするために、念のため記述しておくといいでしょう。
「順」だけを書くことから察しがつくかもしれませんが、「順にも同時にも打鍵する配列」の設定は、実際のところ、順に打鍵する設定の設定に、同時に打鍵する設定を必要な限りにおいて組み込むものです。
では、どのように記述して、順に打鍵する設定と同時に打鍵する設定を共存させるのでしょうか。 その答えは、各表の冒頭に記す設定にあります。 以下の例を見て下さい。 これは、; と A を順に打鍵する設定と、; と A を同時に打鍵する設定です。 前者は特殊な設定を必要としませんが、他方、後者については、冒頭に開き丸括弧を書く必要があります。
順にも同時に打鍵する配列 -option-input[ [;] | -26 ] /* 順に打鍵する場合 */ [;][ テスト1| ] /* 同時に打鍵する場合 */ ([;][ テスト2| ]
詳しくは、DvorakJ:レファレンスマニュアル:キー配列:組み合わせるキーをご覧下さい。
このページの記述を理解すれば、日本語入力用の大抵のキー配列を作成できるでしょう。 自作のキー配列を作ってみてはいかがでしょうか。
そうはいうものの、組み合わせるキーと、出力する文字やキーの両方については、ごく一部しか説明していません。 あるキーを出力したあとに1秒間待機し、他のキーを続けて出力する、といった機能は、これまで解説してきませんでした。 詳細は、DvorakJ:レファレンスマニュアル:キー配列をご覧ください。